銃の描き方手順を解説!ピストル・マシンガン・ライフルも構造理解で上達へ
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
- ガンアクションが描きたいけど、どうやって描けばいいの?
- 工業製品を描くのって苦手なんだよね
- 銃ってどんな種類があるの?
皆さんは銃を描きたいとき、こんな問題を感じたことはありませんか?
銃を綺麗に描くコツは「作画用の資料を用意し、パースやアタリから丁寧に描く」ことです。
どんなに画力のある人でも、見たことの無いものや知らないものは描けないので、資料集めが非常に重要です。
この講座で知識と描き方のコツを身に付けて挑戦してみましょう。
銃の種類・構造を知って描きたい銃を選ぼう
ハンドガン(拳銃)
- 用途:近接戦闘
- 有効射程:50メートル以内
- 特徴:銃の中では最も小さいタイプで、片手で扱うことが出来るものを「ハンドガン」と呼び、発射方式で大別してピストルとリボルバーの2種類があります。
携行のしやすさから警察官が使用したり、女性でも扱えるので護身用として普及しています。
サブマシンガン(短機関銃)
用途:近接戦闘
有効射程:80~120メートル以内
特徴:小型で軽く取り回しが良く、フルオート(トリガーを引いている間、弾が連射される)での射撃が可能で、ハンドガンの弾薬を使用するものが多いです。
市街地や建物内などでの任務が多い特殊部隊や警察が主に使用しています。
アサルトライフル(小銃・突撃銃)
※小銃とは人間が携行可能な銃のこと
- 用途:近接戦闘~中距離での戦闘
- 有効射程:300~600メートル以内
- 特徴:戦闘用のフルオート(トリガーを引いている間、弾が連射される)可能な銃です。
セミオート(単発)で撃つことも可能で、近距離・中距離に対応できるバランスの良さがあります。
世界各国の軍で採用されています。
PDW(Personal Defense Weapon)
- 用途:近接戦闘
- 有効射程:200~300メートル以内
- 特徴:貫通力を重視した弾薬を用いることが多く、取り回しの良さと威力を両立させることを目的に開発されました。
アサルトライフルとサブマシンガンの中間に位置する銃です。
法執行機関や民間軍事企業を中心に採用されています。
スナイパーライフル(狙撃銃)
- 用途:遠距離からの狙撃
- 有効射程:600~2300メートル以内
- 特徴:特別に訓練された狙撃手(スナイパー)が使用し、遠距離から標的を仕留めます。
精度と射程距離を保つため銃身は長く、多くのスナイパーライフルがボルトアクション式(全ての操作を手動で行う機構)、もしくはセミオート(単発)を採用しています。
マークスマンライフル・DMR(Designated Marksman Rifle)
- 用途:中距離からの射撃
- 有効射程:500~800メートル以内
- 特徴:スナイパーライフルのうち、アサルトライフルとしての使用も想定された銃です。
アサルトライフルより威力の強い弾を使用することがあります。
ショットガン(散弾銃)
- 用途:近接戦闘、狩猟用
- 有効射程:50メートル以内
- 特徴:主に「散弾」と呼ばれる細かい鉛の球が複数入った弾薬を使用する銃です。
大きな銃弾が一発だけ飛んでいくスラグ弾や、低致死性のゴム弾など幅広い種類の弾薬を使用できます。
- POINT
-
イラストで使用する機会は多くありませんが、他にもマシンガンやグレネードランチャーなどの銃があります。 いずれの銃も資料を用意して構造をきちんと理解しましょう。
銃の弾薬について知ろう
銃に使用される弾薬にも様々な種類があります。
描きたい銃があれば、一緒に弾薬の種類と特徴も調べましょう。
バレルとは、銃の主要部品の一つで、細長い円筒形をしており、銃弾が通過する部分です。
バレルを通った銃弾はライフリング(バレルの中にある螺旋状の溝)に食い込みながら回転を与えられて加速しますが、その時に刻み込まれたあとが線条痕または旋条痕(せんじょうこん)と呼ばれます。
またよくある勘違いの例として、銃弾と薬莢(やっきょう)が一緒に飛んでいくのは間違った描写なので気を付けましょう。
代表的な5種類の銃の動き方を知ろう
イラストや漫画で登場することの多い5種の銃を撃った時の動き方を紹介します。
- ピストル(オートマチック) … 自動的に薬莢(やっきょう)の排出や、次弾の装填(そうてん)が行える。
- リボルバー(ダブルアクション) … 回転するシリンダー内に弾薬を装填することができ、トリガーとハンマー(弾薬を撃発させるパーツ)が連動している。
- アサルトライフル(オートマチック) … トリガーを引いている間、連射可能な自動式ライフル。
- スナイパーライフル(ボルトアクション) … ハンドルを手動で操作して、装填や薬莢の排出を行う。
- ショットガン(ポンプアクション) … 手動でグリップを前後させ、装填と薬莢の排出を行う。
銃の描写に、それぞれの銃の特徴的な動作が入ると、スピード感や臨場感を演出できます。
ピストルの動き方
①トリガーを引くと瞬間的に銃弾が発射されます。
②銃弾が発射されるとほぼ同時に反動でスライドが後退し始めます。
③バレルがほぼ露出すると同時に薬莢(やっきょう)が排出されます。
このときにバレルが斜めになるのは、ティルトバレル式の特徴です。
④スライドが元に戻ります。
リボルバー(ダブルアクション)の動き方
「ダブルアクション」とはトリガーとハンマーが連動している機構です。
①トリガーを引き始めるとハンマー(弾薬を撃発するパーツ)が起き上がり、同時に弾薬一発分シリンダー(弾薬が入っている部分)を回転させます。
ハンマーが起き上がりきる直前にシリンダーの回転は止まります。
②トリガーを引き切るとハンマーが弾薬を撃発し、瞬間的に銃弾が発射されます。
- POINT
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ダブルアクションと違い、手動でハンマーを起こす必要があるものを「シングルアクション」と言います。 中にはダブルアクションとシングルアクションを使い分けられる銃もあります。
アサルトライフルの動き方
①トリガーを引くと瞬間的に銃弾が発射されます。
②その後、ボルトが後退し、薬莢が起き上がるように出てきます。
③起き上がった薬莢(やっきょう)がパーツにぶつかり、弾かれて飛び出ます。
④その後ボルトが元の位置に戻ります。
スナイパーライフル(ボルトアクション)の動き方
①トリガーを引くと瞬間的に銃弾が発射されます。
②ボルトハンドルを起こし、ボルトを引き出します。
引き出しきる途中で薬莢(やっきょう)がパーツにぶつかり、弾き出されて排出されます。
③引き出すのと逆の動作でボルトを戻します。
ショットガン(ポンプアクション)の動き方
「ポンプアクション」とは、前方にある持ち手を後ろにスライドして薬莢(やっきょう)を排出する機構のことです。
①トリガーを引くと瞬間的に銃弾が発射されます。
②フォアエンド(左手で持つ部分)を手動で引き、引き切るあたりで薬莢(やっきょう)が排出されます。
③フォアエンドを手動で戻しながら次弾が装填(そうてん)されます。
- POINT NG例
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ショットガンの銃口から銃弾が扇状に広がるのは、ゲームでよくある演出ですが、発射した瞬間に撃ち出されるのは銃弾と、その入れ物であるワッズです。 ワッズは空中で空気抵抗を受け、20メートルほど飛んで落下します。
上手に銃を描く手順・コツを紹介
1:まずは資料を集めよう
同じ名前の銃であっても、型番やバリエーションの違いがあり、形や構造が違う場合があります。インターネット検索などを中心に資料になるものを集めてみましょう。
また、調べた画像の中にトイガン(おもちゃの銃の総称)が紛れ込むことがよくありますが、実銃とパーツの形状が違うことも多いので注意が必要です。
- POINT
-
銃の種類や型番を見比べながら、自分がどの銃の資料を探しているのかをよく把握しておきましょう。
2:銃のラフを描こう
- STEP01 Webで調べた寸法から高さと幅を決めます。
- 今回はクリップスタジオの作画ツールを使用していますが、複雑な作業ではありませんので、フリーハンドでの作画や他のソフトをご使用いただくことも可能です。
- STEP02 枠内に収まるように、フリーハンドで全体のシルエットを描き起こします。
- STEP03 四角形ツールや直線ツールを使い、それぞれのパーツの大まかな形を取ります。
- STEP04 資料を参考にしながら、一つ一つのパーツの形を整えるように加筆していきます。
- STEP05 細部を描き込んで完了です。
- 側面だけでなく、正面、上面、裏面も同様のやり方で作成可能です。
3:銃の線画を描こう
銃を描く際は、直線ツールや曲線ツールも使って作画し、微調整や細かい部分はペンツールを使って描きます。
しっかりと資料を見つつ、横軸や縦軸の配置や大きさのズレが無いかなどに気を付けて描きましょう。
工業製品を描くときは、線が歪んだり強弱が効きすぎてたりすると硬そうに見えないため注意が必要です。
4:銃を塗ろう
銃はパーツによって、樹脂や金属、木材などで構成されています。
どんな素材で出来ているかをよく調べてから塗り始めましょう。
- STEP01 まずはベースとなる色を置きます。
- 素材によって最初に置く色味を変え、一色の黒ではなく、様々な黒や灰色を使いましょう。 今回は、樹脂と金属の素材が使われている銃として塗り進めます。
- STEP02 1影(ベースとなる大きい範囲の影)を置きます。
- 銃は曲線で構成されたパーツも多いので1影にぼかしを入れることで立体感を表現しましょう。 まずはGペンや滑らか水彩ブラシなどで大まかに影を付け、曲線部分はぼかしツールで影との境界をぼかして柔らかくします。 その後ブラシ濃度を薄くしたエアブラシツールで境界部分を調整して下さい。
- STEP03 1影と同じように2影(もう一段階濃い影)を入れます。
- STEP04 反射光・ハイライトを入れて、金属の光沢感と、樹脂の光沢感を表現します。
- 基本的に金属の光沢感は、はっきりとして明るく、樹脂の光沢感はぼかしてやわらかく描きます。
- STEP05 樹脂部分にざらざらしたテクスチャを効果レイヤーで入れて完成です。
塗りの細かいやり方はこちらの記事でも解説しています。
角度の付いた銃の描き方
手順1:本体の寸法を元に、真横のアングルで描いた銃の線画を用意します
手順2:描きたい場所に、銃がピッタリ入るような立体の箱を描きます
手順3:手順1で描いた銃の絵を描きたい角度の箱の面に変形して貼り付けます
手順4:起伏にあわせて側面を直線で繋ぎます
手順5:資料を見ながら厚みを調整します
手順6:繋げた側面部分を描き込みます
手順7:細かいディティールを描き込み、完成です
- POINT
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トイガン(おもちゃの銃の総称)があれば自分を撮影して参考資料にしましょう。 トイガンを持っていない場合は、手頃な大きさの物を持ち、右手をピストルの形にすると、人差し指の方向に銃口が向きます。 それに合わせて箱状のパースを描きましょう。
魅力的な銃を描くために大切なこと
銃の基本的な知識を身に付け、資料をよく観察しながら制作することで、魅力的な銃の描写が出来ます。
また今回ご紹介した銃に関係する知識は全体のほんの一部でしかありません。
今後も記事や動画を調べて参考になりそうな銃を見つけましょう。
一人で絵を描いていると、どんな銃が自分の創作に合うか、どんな資料を参考にしたらいいのか、そして描いた銃が違和感なく描けているのかを判断するのはとても難しいものです。
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