漫画の吹き出しのコツ!フキダシの基本を知って読まれる漫画へ
- 漫画に吹き出しを配置すると、いまいちしっくりこない。
- 人物の邪魔をしたりコマを圧迫したり、複数のキャラがいると誰が話しているのかわからない……
そんな漫画の吹き出しのお悩みありませんか?
吹き出しは作者が違和感を感じてなくても、読者目線では読みにくさを感じる場合も。
せっかく面白い漫画が描けて良いセリフが浮かんでも、読者に伝わらないと悲しいですよね。漫画の吹き出しを上手に配置するには視線誘導を意識しましょう。
この記事を読めば吹き出しを適切な位置に配置し、心情により訴えかける表現を見つけられます!
良い漫画は吹き出しも違う!吹き出し作成の基本・コツ
はじめに、漫画の吹き出しやセリフとして使われる基本のフォントサイズを知っておきましょう。
商業誌は20Q、同人誌は18Q、webの縦読み漫画では22~24Qの文字の大きさが推奨されます。
- POINT 文字サイズの単位「Q」とは?
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Qとは日本独自のフォントサイズの単位で、ptは世界で広く使われている長さの単位です。 Q数とpt数は数字が同じでも、大きさは一致しません。 日本のイラストソフトでは、テキストを打つ際に文字サイズの単位を「pt(ポイント)」で表記しますが、漫画制作の際に使われる単位は「Q」になると覚えましょう。 また文字の大きさに合わせて吹き出しの大きさも変わるので、雑誌やwebなど「どの媒体に向けた作品なのか」を決めた上でフォントサイズを選びましょう。 今回は商業誌を前提に、20Qで進めていきます。
読みやすい吹き出しにする2つのコツとは
漫画の吹き出しを上手に配置するポイントは、視線誘導を意識することです。
ここに二人の人間が会話しているコマがあります。
実はこのコマは、意図的に読みやすくなるように吹き出しが配置されています。
このコマを参考に、読みやすい吹き出しとは何かを考えていきましょう。
話してるのは誰か、はっきりさせよう
誰が喋っているのかわからない状態が続くと、読者にとってストレスとなり読むのを止めてしまう原因にも繋がります。
混乱させてしまわないように、適切な位置に人物や吹き出しを配置しましょう。
①の場合、吹き出しがクロスしてしまっています。
吹き出しは、一番近くにいる人物から発せられているものと読者は考えます。
「どこがや」が猫のセリフなのか、兎のセリフなのかパッと見てわかりません。
また人の視線は左から右に流れていきます。
この場合、一言目よりも二言目のほうが先に目に入ってしまいます。
作者の意図が伝わらず、読者も混乱するのでクロスする吹き出しは避けましょう。
②の場合、一見おかしくなさそうに見えますが、吹き出しの先が発言者に向いていないので誰のセリフかわかりにくいです。
③の場合は混乱はしませんが、極端に言えばお腹から声が発されている印象があります。
吹き出しの先は『しっぽ』とも呼ばれます。
しっぽを描かない作風もあ・ますが、読者へのわかりやすさを最優先とするなら、しっぽの先を口元に向けて描きましょう。
長いセリフは二つに分けよう
長いセリフを一つの吹き出しに入れると、吹き出しの余白が空いてしまいます。
そのため文節で改行しましょう。
余分な余白がなくなり、セリフも大きな文字入って読みやすくなります。
長くて文章量の多いセリフはどうでしょう。
余白が少なく、読者はまくしたてられているような気持ちになります。
この場合は、文節で区切る+吹き出しを増やして対処しましょう。
同じ文章量でも、まくしたてられている印象はなくなります。
文章量が増えてしまう場合は、吹き出しを分けると読みやすいです。
漫画の読まれ方を意識して吹き出しを改善しよう
最初に参考にしたコマを1コマ目として、5コマの1p漫画を作るとします。
吹き出しの数が増えていきますが、視線の流れを意識して配置すれば読みやすく整理できます。
逆Zの法則を意識しよう
漫画を読むとき、人の視線は逆Zの起動で読めるとストレスが少ないです。
これは新聞紙や雑誌を読むのと同じ視線の動きです。
普段見慣れた視線の動きと変わると、読者は「読みにくい」と感じるので注意が必要です。
1コマずつの読みやすさがページ全体の読みやすさとなり、読者にとって読みやすい漫画へと繋がります。
吹き出しの位置で時間経過を表そう
吹き出しの位置で時間経過を表せます。
①と②を比べてみると、どちらが勢いを感じるでしょうか?
一般的には、文字→表情の方が読者は勢いを感じます。
①の「セリフ→表情」の順番だと、セリフ(情報)が読者の耳に届いた後に表情が目に入ります。
②の「表情→セリフ」の順番だと、表情を目にした後でセリフ(情報)が耳に届くので、勢いを感じるのが遅くなります。
真っ先に読者に届けたいセリフ(情報)がある時は、表情よりも前に吹き出しをもっていきましょう。
吹き出しの漫画表現をぐっと広げるには
吹き出しの位置が決まり、漫画が完成しました。
しかしまだ物足りない……吹き出しには、キャラクターの心情にあわせて効果がつけられます。
吹き出しの形状をシーンにあわせて変えればキャラクターの心情がより伝わりやすく、表現の幅がぐっと広がります。
吹き出しの形で喜怒哀楽を表現してみよう
吹き出しの形状が変化したら、セリフの印象が変わります。
バリエーションが増えるとキャラクターの感情をより豊かに表現できますね。
楽しいときはより楽しく、悲しいときはより悲しく、吹き出しが絵の補佐的な役割を果たします。
吹き出しのフチを変えるだけではなく、吹き出しの中にトーンを貼ったりベタで塗りつぶしても効果をつけられます。
同じセリフでもこんなに印象が変わります、自分の中でしっくりくる表現を探してみましょう!
フォントで吹き出しの印象を操作しよう
フォントも吹き出し同様、シーンに合わせて使い分けるとよりキャラクターの心情や緊迫感を伝えられます。
このシーンで最も適しているフォントはどれでしょうか?
迫力を出したいなら⑤「源暎エムゴ」、ゆるい明るさなら⑥「たぬき油性マジック」でもいいですね。
自分の気に入ったフォントを探して、キャラクターの心情が最も伝わるフォントを選んでみて下さい!
吹き出しのフォントは変え過ぎに注意!
同人誌の作成やSNSの掲載などには、フォントの決まり事はありません。
しかし商業誌では、作品ごとに使うフォントが決まっています。理由は統一感があるからこそ特別なフォントの効果が際立つためです。
吹き出しが味方になれば鬼に金棒!
まず吹き出しの読みやすさ、次に吹き出しの効果を意識すれば、漫画のクオリティがぐっと上がります。
しかし一人では、どうすれば読みやすくなるのか判断がつかないことも多いでしょう。
イラスト・マンガ教室egacoでは、プロの講師陣が漫画家の視点からも読者の視点からもアドバイスします!
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