ダイスケリチャード先生にインタビュー!作品制作・ご経歴~描き方等
若者を中心に圧倒的な人気を誇るイラストレーター、ダイスケリチャード先生。(画集:丑三ツ時 ダイスケリチャード作品集)
女子学生をモチーフにしたミントブルーとグレーピンクを組み合わせたポップな配色、後ろ向きや顔を伏せているなど人物の顔が見えないミステリアスな雰囲気が話題を呼び、
「三月のパンタシア」のキービジュアル・ジャケット・MVを始め、Netflix特別アニメーション「明日のアニメも、楽しみだ。」のキャラクターデザインなど数々のデザインを手がけられています。
そんなダイスケリチャード先生の素顔や経歴、作画スタイルや仕事論に迫りました!
ダイスケリチャード先生にインタビュー!
心を掴むイラスト作りに向けて、日頃から情報収集やアンテナを張っていらっしゃるのでしょうか?
ダイスケリチャード先生:基本的に触れているエンタメは音楽とお笑いがほとんどで、よく聴く音楽もヴィジュアル系、邦ロック、ジャニーズとかあまり直接画風とかに結びつくジャンルではない気がします。
自分でもどういう流れで今のような絵を描いてるのかはあまり分かりません。
ぼくってばミステリアスなので。
絵を描く仕事がしたいといつから思い始めましたか?ご家族や周囲の反応などあれば合わせてお願い致します。
ダイスケリチャード先生:前職がデザイナーだったのでその流れで絵を描く機会もあり、趣味で続けているうちに自然と仕事になった感じです。
イラストレーターとして独立すると初めに言った時は父親に止められましたが、
もし失敗しても人生のやり直しが出来る年齢だからと思ったそうで(当時23歳)、途中からは勧められるようになりました。
ちなみにうちの父親は遠藤憲一さんに激似です。
ちょっとギャラドスにも似てます。
良い意味で。
ぼくはどちらかと言うと母親似なので、ギャラドスには似ていません。
残念です。
当時の1週間のスケジュール、1日の時間配分などをお聞かせ頂いてもよいでしょうか?また退職してフリーランスのイラストレーターに転身するきっかけなどもお聞かせ下さい。
ダイスケリチャード先生:と、いうのを平日は繰り返してました。
デザイナーはブラックで当たり前だと思って入ったら意外とほぼ定時で帰れていたので、その分絵を描く時間にあてていた感じです。
オンラインゲームに関しては普段あまりやる方ではないのですが、当時就職を機に上京したのでこっちに友達が少なく、地元の友達と離れて遊べることから自然と多くなりました。
土日は仕事の絵や背景が細かい絵など、イラストに割く時間が増える感じです。
フリーランスになったのはイラストで頂くお金が会社の給料を上回るようになったこと、会社があることで受けられない仕事がかなり多くなったからという現実的な理由です。
影響を受けた作家さまや、絵を描くきっかけとなった人物はいますか?また出会ったきっかけもあわせてお願い致します。
ダイスケリチャード先生の作品には、謎めいた雰囲気や意志の強さを思い起こさせる「顔が見えない、後ろから見た構図」が多く採用されています。作品の意図や、現在の作風にたどり着いたきっかけなどをお教えください。
ダイスケリチャード先生:プロを目指していたわけでもなかったので色んなものが描ける必要はないかな、描きたいものだけ描いていれば良いかな、みたいな。
結果的にそれが特徴のような形になってラッキーでした。
今は口元だけ隠したりしつつですが仕事などで顔を描く機会もそれなりにあるので、昔ほど苦手意識はないです。
それよりグリーンピースの方がちょっと苦手かな。
イラストレーターや漫画家に憧れる方が多い中、プロになる前はどのような活動やアプローチをされましたか?現在も続けていることがあればあわせてお願い致します。
ダイスケリチャード先生:スキルアップにもなったでしょうし、絵を見てくれる方も増えましたし。
仕事になったので最近は1週間に1枚にはなっていますが、
コンスタントに描いて発表することは調子やモチベーションをキープしたり、
世間の評価や自分が求められているものを把握するのに大事だと思ってます。
あと続けていることといえば、ここ数年3日に1回はカレー食べてます。
カレーが好きだからです。
わんぱくすぎてごめんなさいね。
絵をコンスタントに描き続けるために、調子を整えたりモチベーションを維持したりするコツはございますか?
ダイスケリチャード先生:基本的にはラジオやテレビと連動していて、
オールナイトニッポンがやってる時間は聴きながら絵を描く、朝はラヴィット!を見ながら仕事のメールを返す…みたいな。
あと、忙しくなければ週2で休むようにしてます。
ダイスケ・ホワイト・リチャードです。
魅力的な絵を描くためのコツや、おすすめの上達法はございますか?
ダイスケリチャード先生:って言うとアレですが、ぼくは深く考えずに行き当たりばったりで描きがちなのでロジカルなことは分からないのが正直なところです。
カッコつけてるみたいで恥ずかしいですが、そんな感じです。
上達法は…と、いうか上達法考えている暇があるなら描くとかじゃないでしょうか。
なんだかんだ描くほど上手くなると思います。
当時と現在で、描かれるテーマやコンセプトに変化のあった部分をお聞かせください。
ダイスケリチャード先生:しばらくして出水さんはスーパー人間だということに気付き、ぼくには到底無理だと思いパッとやめて。
描きやすい絵を描いていたら今の形になった感じです。
絵を描くのに悩んだりつまづいたりしたご経験はありますか?どのように逆境を乗り越えたかもあわせてお願い致します。
ダイスケリチャード先生:解決方法も見つかってないので、基本的には調子が悪くてもできる作業をしてスランプが開けるのをただただ待ってます。
ラフがちゃんとしていればほぼなぞるだけなので、
構図のストックから線画を延々と書いていることとか多いですかね。
で、そのうち復活しているという。
ラフの時点でも、清書と変わらないくらいしっかり描き込まれるのでしょうか?よろしければ、今回ご提出いただいたイラストのうち1点のラフをお見せ頂けますと幸いです。
1枚の作品をつくるのにどれくらいのペースで描き上げられますか?構想やアイデア、線画、塗りでそれぞれ何時間~何日くらいか教えてください。
ダイスケリチャード先生:構想〜ラフに30分、線画30分〜1時間、着彩30分〜1時間、仕上げ30分くらいです。
作業中に日常的に聞いているラジオが1番組1時間半〜2時間なので、
2番組聴いたら1枚出来ていると良いなって感じですかね。
仕事の絵は描く前に色々と練ったり、作業自体も丁寧にすることが多いのでもっとかかります。
あ、普段が丁寧じゃないわけではないですよ。
お仕事の絵を描く前に色々練るとのことですが、資料を集めたり打ち合わせされたりでしょうか?クライアントさまとの打ち合わせ時に意識されていることもあわせてお聞かせ下さい。
ダイスケリチャード先生:その中での優先度を聞いて、上から順に絵の邪魔にならない範囲で反映させていく感じですね。
元から好きなものだと勝手にモチーフ盛り込んでラフの時にしれっと出したりして。
「イイっすね!」って言ってたのに、いざ発表された完成デザイン見たらそこトリミングされてたりして。
やるねぇ!
…と言いつつ、ぼくもそういうことする時は簡単に切れるように端っこに置いたりしてるので全然それでオッケーです。
三月のパンタシアの「青春なんていらないわ」などを始めとした数々のMV、ジャケットを手がけたダイスケ先生ですが、お仕事に繋がるきっかけとなったエピソードはございますか?
ダイスケリチャード先生:…って話を過去にもインタビューでしているのですが、その度に「言ったことあるよ!」と突っ込まれるので、ぼくが忘れている上に何回聞いても覚えられないだけです。
ダチョウ頭です。
ただ、独立して初めて頂いた仕事だったところからずっとぼくを象徴するもののひとつだと思うので、三パシさんがいなければぼくはとっととイラストレーターを辞めてた可能性もあるくらいかもしれません。
仕事で使われている道具や機材、作画環境を教えてください。
ダイスケリチャード先生:昔はデスクトップにタブレットなどそれっぽい環境を整えていたのですが、
画風的にめちゃくちゃ機能性が高い必要もないですし、性格的にもなるべくコンパクトな方が合ってるなと思い今は最低限の形になりました。
コンパクトマン。
Photoshop CCとIllustrator CCを仕上げに使われておりますが、具体的な仕上げの手順などもぜひお聞かせください。
ダイスケリチャード先生:その変更や検証が楽なことが1番の理由ですかね。
なのでペイントソフトでは完成をイメージしつつも、色をそこまで詰めていないことが多いです。
Illustratorではイラストと組み合わせるデザインや模様を作ります。放射状の線とかがよく使うので分かりやすいかもしれません。
あとは例えば1本の曲がった線をIllustratorで描いて、スマートオブジェクトでPhotoshopに入れたあとグラデと境界線を付けてコードにしたり。
普通に絵として描けば良いんじゃないかと思うかもしれませんが、
後からいくらでも手軽に編集できるパーツになるので色々試したい時とかこっちの方が都合が良いこともあったり。
ちょっとまともな話が長くなってしまったので、全裸で話していることにしてください。
過去のダイスケ様にご質問です、絵の練習をしたいと思い立った時にもし身近に頼れる先生やプロがいたら何を教えてほしいですか?
弊社は個別指導のイラスト・マンガ教室を運営しているのですが、個別指導で一人づつの課題に対して提案や指導が受けられるスクールについてどう思いますか?
ダイスケリチャード先生:ぼくはグラフィックデザインの学校に行ってたのですが、その時の提出物で意図的に配置やカーニングのバランスを悪く作っていた作品が「バランスが悪いからダメ」とやり直しさせられたことがあって。
バランス悪いものを作りたくて作ったのに、バランス悪いからダメってなんだ?と思ったんです。
何が言いたいかというと「こうするのがセオリーだからこう」って万人に言える指導じゃなくて、個々が目指すものに向けた指導を個別に向き合ってやってくれるならそれが良いよねという感じです。
まあ、ぼくの専門時代の話は今考えると意図が伝わらないものを作ったぼくが悪いのかもしれませんが。
…いや、やっぱり意図を汲んでくれない先生も悪い気もします。
うーん…
ドロー!
(多分ぼくが悪いです)
今後の活動について、やってみたいことや目標はありますか?プロの作家を目指す皆さんへメッセージやアドバイスをあわせてお願いします。
ダイスケリチャード先生:あと結婚したいですね。
これもぼくの性格とか的に難しいんですけどね。
プロを目指す方へのメッセージやアドバイス…
薬を飲むときはジュースより水の方がいいですよ。
あと、とにかく公開することが大事なのかなと思います。
どれだけ良い絵でも誰も見れないところに置いておいても何にもなりませんし、
今の時代ネットにでも出しておけば何が誰にどう見つかるか分かりませんから。
作家紹介:ダイスケリチャード先生
土ふまずが浅いので、足の裏がのっぺりしてます。
仕事としてはアーティスト、書籍、企業へのイラスト提供やコラボアイテムなど、個人ではアパレル展開などやっています。
自分から代表作はコレ!って言うのはアレなので、
サイトの仕事歴なんかを見ていただけますと、
もしかしたらご存知のものもあるかもしれません。