ショートカットの描き方を紹介!男女の短髪描き分けからイラスト作例まで
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
目次
かっこいい男性キャラクターやボーイッシュな女の子を描こう!と思ったとき、ショートカットの描き方に悩んだことがありませんか?
いざ描いてみてもワンパターンな髪型になり、キャラクターの描き分けができない……という方も多いと思います。
ショートカットを上手に描くコツは「つむじを意識する」ことです。
髪が生える場所を意識すれば、どんな長さのショートカットでも説得力のある髪の流れが描けます。
構造を理解して描こう!ショートカットのイラスト基礎知識
まずはショートカットの構造について理解しよう
ショートカットは髪の長さによって構造が違います。
現実の髪の毛を漫画やイラストに落とし込む場合、まずはシンプルに考えることが大切です。
単純化された方がイメージを掴みやすく、基礎が身につけば応用していくらでも複雑にできます。
毛足が長いショートカットの構造
まず髪の毛を「前髪」「横髪」「後ろ髪」の3つにパーツ分けします。
詳細 | |
前髪 | ひたい部分にあるパーツ。中央で分ける場合は横髪と一体になっていることもあります。 |
横髪 | 目尻と耳の手前までの間のパーツ。 このパーツ込みで「キャラクターの顔」と印象付ける場合も多いです。 「普段は髪を下してたキャラクターが髪を結ぶ」といったシチュエーションでも、この横髪だけは下したままにおかないと、まったく別のキャラクターに見えてしまうことも多々あります。 |
後ろ髪 | 耳から後ろのパーツ。 全体のシルエットでキャラクターらしさを演出する部分です。 顔の角度が変わっても、なるべくシルエットを重視して描くことで、どの角度から見ても同じキャラクターだという印象付けられます。 |
この3つのパーツ分けができたら、つむじから頭の形に沿うような毛の流れになるという構造を意識して作画をしていきます。
- POINT スイカ模様をイメージし、頭の形に沿うように描きましょう
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3つのパーツ分けができたら、つむじから頭の形に沿うような毛流れを意識して描きます。 「つむじから頭の形に沿う」イメージしづらい方は、「スイカの模様」を思い浮かべるとわかりやすいです。 他にも、ピンポン玉などの丸いものに細い付箋を張りつける、マジックで線を描くなどして、構造を意識できる模型を作って観察するのも上達に繋がります。
毛足が短いショートカットの構造
本格的なスポーツをするベリーショートの女の子キャラクターや、男の子のキャラクターに多い髪型ですね。
毛足が長い場合とは異なり、前髪、横髪、後ろ髪などのパーツ分けはあまりしません。
つむじ部分を設定し、そこから短い髪の毛で段差を作って、層を重ねたようにイメージしながら描きましょう。
こちらはなかなか想像しづらいので、バナナの房が重なっているイメージするとわかりやすいです。
- POINT バナナの房が重なっているイメージで描きましょう
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こちらもピンポン玉など丸いものに細く短い付箋を張りつけるなど、模型を作るとわかりやすいです。
これで描ける!ショートカットの描き方手順・コツ
それでは先ほどの構造を頭でイメージしながら描いていきましょう。
毛足が長いショートカットの描き方
つむじを決めてからパーツ分けをします。
つむじからの髪の毛流れを追加した後に、流れに沿って毛束を描きます。
手順1:つむじを決めて、髪の毛の素体を描く
つむじを決めて、髪の毛のアタリとなる素体を描きます。
特にこだわりがなければ、赤線のように真横から見た時に「耳の少し前の真上」あたりに設定しましょう。
次につむじを起点にしながらパーツ分けの線を描き、頭部に沿った髪の流れも描きます。
スイカの模様をイメージしながら作画しましょう。
- POINT 毛足が長いショートカットを描くコツ
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髪の毛は頭皮にぴったりと張り付くように描くと髪の毛が薄いキャラクターのように見えてしまいます。 この時点で髪のアウトラインを頭皮より一回り大きく描きましょう。
手順2:パーツごとに毛束を描こう
毛束を描きこみましょう。
まずは素体に沿って大きな毛束を描きこみます。
束自体は大きくても良いのですが、毛先はランダムに太く細くと枝分かれさせましょう。
毛先に気を取られすぎて、全体のシルエットが崩れてしまったり、毛先の分かれる部分が大きく髪の毛流れから逸脱してしまったりしないように気を付けてください。
手順3:おくれ毛を描こう
全体の毛束が描けたら、最後におくれ毛を追加しましょう。
おくれ毛は3~5本ほどの少ない本数で描いてください。
- POINT おくれ毛を描く時のコツ
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おくれ毛は、シルエットがあまり変わらない程度に少しだけ毛流れからずらして描くとランダム感が出て、自然なショートカットが完成します。
毛足が短いショートカットの描き方
つむじを設定したのち、そこから短い毛が段差を作るように生えるイメージで丁寧に作画しましょう。
手順1:つむじを決めて、髪の毛の素体を描く。
まずはつむじの場所ですが、毛足が長い場合より少し後ろに設定しましょう。
真横から見た時に耳より少し後ろに設定されます。
つむじを起点に、先ほどのバナナの房が重なっているイメージを思い出しながら、段差をつける場所にアタリを描きましょう。
つむじからアタリに向かって、大雑把に毛流れを描けば髪の毛の素体ができます。
手順2:前髪とアウトラインを描く。
次に前髪とアウトラインを描き、毛束を描きこみましょう。
毛足が短い場合は、まず前髪とアウトラインから先に描きます。
アウトラインは細かく跳ねた毛を描きすぎるとツンツンした印象が強く見えます。
跳ねさせる部分と頭のアウトラインをなぞるだけの部分で間隔をあけながら作画しましょう。
- POINT 毛足が短いショートカットの描き方コツ
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後頭部から首にかけて、だんだん首に沿うような毛流れにすると形が綺麗に見えます。
手順3:髪の毛の段差を描こう
髪の毛の段差を描きましょう。
アウトラインを描いた後は、内側の髪の毛を作画していきます。
髪の毛の素体で立体感を確認しながら、つむじに近い部分から描きましょう。
太めのおくれ毛を何本か重ねるようなイメージで描くと自然になりやすいです。
- POINT 細部を整えましょう
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アウトラインから繋がった部分を作ったり、アウトラインからはみ出す太めのおくれ毛をつけたりしてもランダム感が出ます。全体を描きこみすぎない程度に整えれば完成です。
ウェーブ髪のショートカットの描き方
パーツ分けをするところまでは毛足が長い場合と同じですが、そのあとの毛束の描き方に特徴があります。
手順1:パーツ分けをして、大雑把な髪の毛の流れを描こう
大まかなパーツ分けができたら、つむじからの毛流れを描きます。
ストレートに頭の形に沿うのではなく、ゆったりとうねるラインを描きましょう。
- POINT いつもより少し太めの線で描きましょう
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このとき、いつもより少しだけ太めの線で下描きを描きましょう。 巻いた髪の流れは、意識して大きなうねりを描かないと、永遠に小さく細かく描いてしまいがちです。 まずは「大きくうねるようなカーブ」でシルエットを作りましょう。
手順2:細めの毛束を追加しよう
太めの毛束を描いた後に、その毛束から枝分かれしている細めの毛束も作画します。
様子を見ながら少しずつ密度を上げましょう。
全体のシルエットが崩れないように毛束を増やして完成です。
男女のショートカットの描き分けについて
「男の子の髪はガシガシと硬めに!」「女の子は柔らかく!」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
結論から言うと、絵柄と髪型によって違います。
男性キャラクターのショートカット
毛足が短い男性の髪は、青年誌向けのリアル寄りな絵柄でも、少年漫画や小学生向けのバトル漫画でも、直線的で針金のような髪の毛で描かれることが多いです。
毛足が短くても柔らかそうな髪の毛として描かれるのは、乙女ゲームや少女漫画などのいわゆる女性向けコンテンツの絵柄の場合がほとんどです。
女性向けの絵柄では、髪質で男女の描き分けは少ないです。
また極端に個性を出しすぎない「大衆受けする漫画イラスト」や「ライトノベルの主人公の男性キャラクター」の多くは毛足が長く、いずれも柔らかそうな髪質で描かれる場合が多いです。
女性キャラクターのショートカット
また女性キャラクターはどんな絵柄や作品でも、基本的には柔らかそうな髪質で描かれることが多いです。
ただ低年齢向けのアニメ作品では、髪の質感よりも全体のフォルムでキャラクターを描き分けることが多いので、柔らかいというよりは「立体的な造形物」を描くように髪の毛を表現します。
自分の描きたい絵柄に合う表現を模索してみましょう。
ショートカットの髪型一覧と描き方
最後に例として、いろんなショートカットの種類と描き方をご紹介します。
男性のショートカットのアレンジもあるので、自分の描きたかったキャラクターに合うものを探してみてください。
女の子のショートカットの作例
現代風おしゃれ刈り上げショート
耳上あたりに髪のふくらみを作るのがポイントです。
そこから首筋に向かう襟足(刈り上げ部分)は細かくギザギザで描きましょう。
また外跳ねした数本の髪の毛も、なるべく正面と比べて髪全体のシルエットが変わらないようにしましょう。
ぱっつんボブヘア
髪の向きや角度による描き分けを練習するのに適した髪型です。
正面から見た時に、髪の毛全体が下に重さがある「おにぎり」形になるように意識しましょう。
正面以外の時も、重心が下にあるイメージを崩さないように描けばきちんとボブヘアーに見えます。
ベリーショート
活発なキャラクターや、何らかの理由で髪の毛が短くなったキャラクターに多い髪型です。
頭に沿って全体のアウトラインを描き、つむじから跳ねた髪の毛を描いていきます。
角度が変わると形の違いが目立つため、非常に難易度は高い髪型です。
前髪を描くとき、眉下まで描かないようにしましょう。
角度が変わると前髪が伸びた作画になる失敗が起こりやすいです。
エム字前髪と外跳ねのショートカット
ファンタジー作品でよく見る髪型です。
全周でどんな構造になっているのかを考えて描きましょう。
どこから見ても同じシルエットになるよう外跳ねを描くと、斜め後ろや後ろ側にも外跳ねがある……といった風にさまざまな可能性を考えます。
キャラクターのフィギュアなどいろんな角度から見れるものを参考にするとわかりやすいです。
結び目と重心が下の方にある髪の毛、短めアーチぱっつん前髪
ファンタジー作品で見かける結び目のすぐ上がふわっと広がった髪型です。
後ろ髪でこのような結び方になったパターンも多いですね。
ボブヘアーと同じで全体のシルエットが大切な髪型ですので、どこから見ても「雫」のような形になるように意識しましょう。
アーチ型の短めのぱっつん前髪は「眉上からどれくらいの長さか決める」「顔の中心ラインがもっとも短く、両サイドに向かって長くなる」ということを念頭に置くと自然と立体的に描けます。
男の子のショートカットヘア作例
アップバング
前髪を少し浮かせるようにしておでこを出すようなヘアスタイルです。
横顔や斜め顔の際に輪郭をおでこまで長く描くのが特徴です。
短髪の後ろ髪は、つむじからシルエットを描き、つむじから上へ跳ねた髪の毛を描き入れると自然な仕上がりです。
つむじが片方に寄る場合は、正面向きや後ろ向きでもつむじが同じ場所にあるように注意して描きましょう。
マッシュ
マッシュルームヘアの略称です。
60年代に初めて流行した際のマッシュは、頭全体を包み込むような髪型でした。
近年ではツーブロックと合わせて耳上にのみふくらみを作り、首の付け根あたりは短めに切りそろえるものが主流です。
個性的、おしゃれ、かわいい、ミステリアスなどの印象があり、女性人気のあるメンズヘアです。
完全にマッシュルームの形にすると、個性的な印象が強すぎてしまう場合もあるので、部分的に外跳ねを作るとカジュアルな雰囲気に見えます。
後頭部はボブのようになっている部分と首にそって短くなっている部分をしっかり描き分けましょう。
また、もみあげ部分はあまり主張しすぎない方が全体のシルエットが美しく見えます。
アシンメトリーヘア
左右で長さが違う髪型です。
実際のアシンメトリーヘアは分け目を8:2くらいにして片方の髪を多めに流したり、片方だけを刈り上げたりする髪型です。
2次元のアシンメトリーヘアは「横髪」となる部分が片方長いパターンが多く見られます。
横髪だけが長いので、たいていは後ろ髪の長さに違いはあまりないです。
また前髪が片方長く片目が隠れた、通称「メカクレ」のキャラクターもアシンメトリーヘアに分類されます。
アシンメトリーヘアをさまざまな角度で描くポイントは、どの方向から見ると長めの髪が見えるのか把握して描くことです。
上記のイラストですと、斜め後ろから見ると首や頭に隠れて長い髪が見えないので、ただの短髪へアに見えてキャラクターの印象が変わっています。
あまり印象を変えたくないイラストでは、わざと風になびかせるなど長い髪の毛がきちんとあることを誇張して描くと良いです。
少年漫画風ツンツンヘア
少年漫画などに登場する、四方に髪の毛がツンツンした髪型です。
全体のシルエットを漫画のキャラクターが叫んだ時の吹き出しみたいに、頭の中心から外側に向かって跳ねるように描きましょう。
つむじは頭頂部と仮定してそこから髪の毛が広がるようにザクザクと描きます。
全体的に触れると痛そうな感じで描くと、よりデフォルメが強い印象です。
オールバック
前髪から横髪まで全部を後ろへ撫でつけるように流した髪の毛です。
頭の形をしっかり意識して描かないといけないので、上級者向けの髪型です。
全体のシルエットを描いてから髪の流れやおくれ毛を描きます。
後ろへ向かって撫でつけたような髪型のため、頭頂部の跳ねた髪の毛は少なく描きます。
また後頭部に毛先が多く集まるので、シルエットの違いに注意して描きましょう。
センターパート、ニュアンスパーマ
センターパートとは、真ん中分けの前髪のことです。
ニュアンスパーマは、ウェーブがかったくせ毛風のパーマで、その二つを合わせた髪型が上記の図です。
全体がダイヤモンドの形になるようにイメージしながらシルエットを作ると綺麗に見えます。
ウェーブヘアなのでランダム感を出そうと永遠に描きこんでしまうと、スパゲッティのようにごちゃっとした仕上がりになる場合があります。
耳にかけた髪など、特徴的な部分以外はなるべく省略して描きましょう。
マンバンヘア、ツーブロック
マンバンヘアは海外のスポーツ選手などによく見られる髪型です。
日本だとヤンキー漫画のキャラクターや、セクシーな男性キャラクターの髪型として描かれます。
少し垂らした前髪や、後ろの髪を結ぶなど「自由に遊ぶ髪の毛」がセクシーに見えるポイントです。
頭頂部はあまりおくれ毛などを描かずに、きっちりと結う方がいいでしょう。
刈り上げに部分の描き方は、あくまで一例です。
黒で塗りつぶしたり、トーンを張り付けたり、カラーの場合もさまざまな描き方があります。
好きなイラストレーターや漫画家の先生の描き方も試してみましょう。
ストレートセンターパート、ツーブロック
K-POP系のアーティストに多い髪型として最近注目を集めています。
日本では昔から少女漫画や少年漫画など、ジャンルを問わずさまざまな作品に登場してきたなじみのある髪型です。
耳の上あたりで丸いシルエットになって、全体が短めのボブヘアになるのが近年の流行りですね。
耳は半分くらい見えますので、後ろ向きや斜め後ろでもきちんと見えるように描きましょう。
思い通りのショートカットのキャラクターを描こう
理想のショートカットのイメージは掴めましたか?
ショートカットに慣れてきた方は、髪型一覧にあるものを前髪、横髪、後ろ髪にパーツ分けをしていろんな組み合わせのショートカットを練習しましょう。
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