刀の描き方・コツを解説!リアルな刀の表現や着彩、曲線の秘訣
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
イラストやマンガの中で刀を描こうとしたとき「魅力的な構図が分からない」「綺麗な曲線が引けない!」「色塗りまで終わったけどいまいちパッとしない・・・」など感じたことはありませんか?
刀を上手に描き、色塗りをするコツは「正しい刀の知識を知ること」です。
この記事では、デジタルで刀の綺麗な曲線を引くテクニックや、絵の魅力をグッと上げるコツを紹介します。
すぐに実践できるポイントばかりですので、今日から活用してみましょう!
刀の基本的な形を知ろう
刀の部位の名称
日本の刀剣の歴史は古く、形や用途を変えながら、現代まで連綿と受け継がれています。
その歴史の中でもポピュラーな「打刀(うちがたな)」を例にして、基本的な形と構造を覚えましょう。
- 柄(つか)…刀身を木材などでまきこみ、手で握る部分。
- 柄巻(つかまき)…柄全体を組紐や革緒で包んだもの。
- 目貫(めぬき)…柄と刀身を固定するための留め具だったが、後に装飾となった。
- 目釘(めくぎ)…元は目抜きの一部。刀身を固定する留め具。
- 鎺(はばき)…鞘にぴったりはまり、鞘の中で刀身を固定する。
- 反り(そり)…刀身全体の曲がりぐあい。
- 刃(は)…裁断に用いられる鋭利な部分。
- 峰(みね)…刀身の背になっている鋭利ではない部分。
- 刃文(はもん)…焼き入れによって出来る様々な紋様。
- 鎬地(しのぎじ)…峰から刃までの間。
- 横手筋(よこてすじ)…切っ先の角に出来た線。
- ふくら…切っ先から横手筋にかけてのふくらみを帯びた部分。
- 鐔(つば)…刀身と柄の間につける金具。手の保護と、刀の重心を調整している。
- 縁(ふち)…柄と鐔の間の金具。
- 切羽(せっぱ)…鍔を固定する金具。”切羽詰まる”の語源。
- 鞘(さや)…刀身を収める容器。多くは木製で漆塗りなど装飾がなされている。
- 鯉口(こいくち)…鞘の入り口。
- 下緒(さげお)…鎧の上から刀を下げるときに用いる。
描きたい刀はどれ?時代ごとの代表的な刀を知ろう
日本刀は、時代によってその形と用途を様々に変化させてきました。
騎馬で使うもの、徒歩で使うもの、神様に奉納されるもの、そして美術品。
時代背景と合わせて刀の形を知ることによって、一歩踏み込んだ刀の描写ができます。
刀剣の種類とその時代
- 直刀…鉄製の剣では、日本で一番古い形。徒歩の戦闘や儀礼用に作られています。
- 太刀…騎馬戦での合戦を想定しているため、大きく作られています。
- 打刀…集団戦の中で取り回しのいいように小型化されています。もう一回り小型のものを脇差(わきざし)と言います。
- 短刀…様々な時代で見ることができます。
太刀は、刃を下にして”佩(は)く”
平安時代後期~室町時代前期、武士が太刀を身につける際には、革紐や組紐を使用して刃を下に向けて腰から下げました。
これを、太刀を「佩(は)く」と言います。
打刀は、刃を上にして腰に”差す”
室町時代中期~江戸時代末期、武士は刀を特別な道具は使わずに腰帯に差していました。
脇差を一緒に差すこともあり、二本とも左腰に差していました。
その様子から、武士のことを「二本差し」とも呼びます。
- POINT
-
持ち運び方も時代とともに変化しているので、刀を持つ人物を描く場合はよく調べて描きましょう。
カッコいい刀の曲線を引くコツ
かっこよく日本刀を描くためには、いくつかのコツを押さえておく必要があります。
まずは日本刀のかっこいい形のポイントを知りましょう!
また、長い曲線をフリーハンドで描いたり、パースがついた刀を描くのはとても難しいので、アナログでもデジタルでも頼りになるツールを解説します。
刀身の形状を整える4つのポイント
上の画像の刀身は、なんだかカッコ悪い形になってしまっています。
刀をかっこよく描くには、下記の4つのポイントを押さえてみましょう!
- 柄の形が、中ほどから細くなっていく。
- 鐔(つば)が刀身に対して大きくなり過ぎない。
- 刀身の形は、先に行くほど細くなる。
- 刀の反りは、手元から緩やかにはじまる。
これらを意識して修正してみると、かっこいい刀になりましたね!
綺麗な曲線を引くテクニック(アナログ・デジタルツール)
日本刀の反りを描くためには、綺麗な曲線で描かないといけません。
綺麗な曲線をフリーハンドで引くのはかなり難しいので、様々なツールを活用しましょう。
アナログ・雲形定規を使って線を引く(雲形定規とは)
雲形定規とは、文字通り雲の形をした製図道具のことです。
描きたい曲線にあわせて定規の角度を変えると、様々な曲線に対応します。
デジタルが主流になった今ではあまり見かけることはありませんが、アナログで作画する方はぜひ利用しましょう!
デジタル・曲線ツール(CLIP STUDIOの場合)を使って線を引く
曲線ツールを使えば、描きたい角度にあわせて綺麗な曲線が描けます。
ベクターレイヤーを併用すると、後から制御点を追加して、線を調整することもできます。
様々なツールを使って、きれいな線を引けるように工夫してみましょう!
パースのついた刀身を描くための3つのコツ
パースのついた刀の形はイメージしづらく、なんとなくで描くと形が崩れてしまいがちです。
パースのついた刀を描くとき、3つのポイントを押さえてみましょう!
- 切っ先と手元で刀身の向きを揃える
- 反りの頂点は手元側になる
- 刀の形状に沿って、手前と奥の大小差をつける
上記の3つを意識して修正してみると、自然な見え方になりましたね。
リアルな刀の描き方のコツを知ろう
テクスチャを貼って質感を表現しよう
自分で撮ってきた金属や木目の写真、フリー素材のテクスチャをオーバーレイで重ねて質感を出しましょう。
ぼかしツールを使って刃文を描こう
波打つ刃文は、ぼかしツールでところどころぼかすとリアルに見えます。
他にもにじみブラシなど、質感のあるブラシで刃文を描くことも効果的です。
反射や映り込みを表現しよう
磨かれた刀身は、鏡のように周囲の風景を反射します。
反射光や周囲の風景の映り込みを表現しましょう。
刀を持つ絵を魅力的にするコツを知ろう
刀を持った構図のコツとは
正確に刀が描けるようになったら、次はどんな構図にするかを決めましょう。
重要なのは、貴方が描きたいのは”かっこよく刀を持ったキャラクター”なのか”かっこいい刀自体”なのか、ということです。
イラストを見る人にどんな魅力を伝えたいのかを決めて構図を考えていきましょう!
「刀を持ったキャラ」が主役の場合
刀を持ったキャラクターをかっこよく描きたい時は、顔や手などキャラクターの魅力的な部分がしっかり見えていて、画面に対して十分な大きさで描くのがポイントです。
また、刀はサブ的な要素になるので、あまり目立たせないようにすることも必要です。
メインのキャラクターが、画面中央に大きく配置されて、見る人に何がメインなのかがしっかりと伝わるようになりましたね。
刀の切っ先を画面外に出したり、刀を必要以上に目立たせないことも重要です。
「刀そのもの」が主役の場合
左の画像は、キャラクターが中央にあって、メインに添えたい刀が画面端に描かれてしまっています。
また右の画像でも、刀の特徴的な切っ先のシルエットが画面外に出てしまい、刀の魅力が伝わりづらくなっています。
「かっこいい刀」をメインにした構図にしたいときは、刀が目立ちやすくなるように画面中央に配置したり、刀のシルエットがしっかり見やすくしたりしましょう。
このイラストでは、キャラクターではなく刀を見てほしいんだ!というのが伝わってきますね。
- POINT
-
一枚絵で、刀もキャラもどっちも見せたい!としてしまうと、中途半端な迫力のない構図になってしまいがちです。 どちらか一つをメインに考えるのがコツです。
ライティングで刀を魅せよう
構図を決めたら、次はライティングです。
せっかくビシッと構図が決まっても、見せたいものに光が当たらずに見づらくなってしまっていると「なんだかパッとしない……」という印象になってしまいます。
メインのモチーフにしっかり光を当てましょう。
見せたいものにコントラストをつけよう
人は、明暗差(コントラスト)がハッキリついている部分に視線が集中します。
その性質を使って、見せたい部分に光を当てると視線誘導ができます。
もし見せたい部分以外に光が当たってしまっていると、ちぐはぐな印象になってしまいます。
これを修正してみましょう。
ポイントは、見せたい部分に光を当てて、しっかりとコントラストを作ることです。
メインとして中央に置いたキャラクターや刀に、コントラストがつき、視線が向かうようになりましたね。
構図とライティングによって、そのイラストの魅力を、効果的に見る人に伝えられます。
刀を描くコツを押さえて実践しよう!
刀を正確に描くにはある程度知識が必要になりますが、魅力的に描く構図のコツや塗りのテクニックなどはすぐに実践できるものばかりです。
ぜひ今日からご自分の制作に活かしてみてくださいね!
もし、一人で刀の描き方を練習してみたけど、上手くならない、自分の思った通りに描けない、という方は私たちのスクールも検討してみてください。
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