昭和・平成レトロなイラストの描き方!ポップな配色で80年代風に加工
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
いま若い世代を中心にルーズソックスやクリームソーダ、純喫茶などのレトロブームが起きている中、「レトロイラストを描きたいけどやり方が分からない…」そんな方も多いのではないでしょうか?
レトロなイラストを描くためには、「昭和・平成レトロの違いやそれぞれの特徴を知ること」が大切です。
特徴をおさえてレトロでポップなイラストを描くコツを一緒に学んでいきましょう!
昭和レトロと平成レトロの違いを知ろう!
そもそも「レトロ」って何?
レトロという言葉には「懐かしい」という意味があります。
具体的な定義はなく、回顧的なイラストであればレトロといえるでしょう。
主に大正〜昭和時代のものを総称するため、江戸時代など、古すぎるものはレトロのイメージから外れてしまうので、古くても懐かしさが感じとれる範囲で使われます。
日本では昭和のちょっと懐かしい雰囲気が漂っているものを「昭和レトロ」と表すことが多く、最近では20年以上経ったことで「平成レトロ」という言葉も使われつつあります。
大きく2種類に分けて、「昭和レトロ」と「平成レトロ」の特徴を解説していきます。
昭和レトロの特徴について
1926年(昭和元年)12月25日から1989年(昭和64年)1月7日までを昭和時代といいます。
昭和レトロとは、戦中戦後含めた昭和全般の回顧主義をいいますが、昭和30〜40年代、高度経済成長期の日本のノスタルジーを指す場合が最も多いです。
具体的に連想されるのは、黒電話、ブラウン管テレビ、喫茶店、クリームソーダのような当時流行した機器や食べ物、またはコンピューターのない時代に子どもたちがあそんでいたメンコやブリキのおもちゃ、当時食べられていた駄菓子など、太平洋戦争の焼野原から復興した日本で流行した文化とモチーフです。
昭和を感じられるカラーパレット
落ち着いた配色
どこかノスタルジックな雰囲気を醸し出している配色です。
緑や黒を使うときも、茶色を混ぜた色にすることで落ち着いた印象を与えます。
人情や温かみを感じられるような配色
人情や温かみを感じられるような配色は、暖色で統一した配色です。
朱色はあえてビビットにすることで、レトロな中にも明るさのある印象になります。
色褪せた配色
レトロイラストでは定番の色褪せた配色です。
ただ色褪せているだけではなく、ターコイズグリーンと色相環では反対のビビットな黄色を落ち着いた色でまとめることで、目を引く配色となっています。
平成レトロの特徴について
1989年(平成元年)1月8日から2019年(平成31年)4月30日までを平成時代といいます。
昭和のアナログ感とは一変し、デジタル化が進みつつあった時代で、明るく前向きな雰囲気やデジタル化を感じさせた近未来感が特徴です。
デジタルカメラや、J-pop、Y2Kファッションに見られるキラキラしたスタイルなど、昭和レトロに比べると新鮮で洗練された雰囲気や、自由さ、派手さが感じられます。
Y2Kとは、2000年代前後にトレンドとなった着こなしやカルチャーのことで、「Y」はYear、「K」は1,000を表す単位として2000年代を表します。
具体的に連想されるものは、ルーズソックス、ガラケー、カセットテープ等のモチーフです。
平成ポップを感じられるカラーパレット
ファンシーポップ風の配色
ブルー系で統一された優しいパステルカラーです。
緑やピンクも青みがかった色にし、平成に流行ったファンシーな小物などをイメージしたカラーです。
Y2K風の配色
派手なビビッドカラーや、キラキラしたデコパーツが流行った平成を彷彿とさせる配色です。
90’sポップ風の配色
2000年代は、ポップなキャラクターグッズが多く流行したのも特徴です。
その他のレトロ用語やモチーフ
その他にも、年代ごとに当時流行した音楽やアニメ、服装からレトロの魅力を伺い知れます。
音楽の流行・・・欧米の影響を受け、洗練されたシティポップというジャンルが、1970〜1980年代に流行しました。
アニメの流行・・・90年代アニメ、平成アニメなどがそれぞれの時代の影響を色濃く受けたアニメが制作されました。
服装の流行・・・50年代にはウエストのしまったAラインワンピースやスカートなど、エレガントで女性らしいシルエットが流行しました。
60年代には、色鮮やかでポップなデザインや、ミニスカート、花柄や幾何学模様も流行しました。
レトロイラストを描く手順をメイキング解説
実際にレトロイラストの描き方をメイキングで紹介します。
イラストの描き方についてはこちらもどうぞ。
レトロイラストの大事な要素は、「モチーフ」と「カラーパレット」
最初にレトロを象徴するモチーフとカラーパレットを用意して、レトロなイラストを描いてみましょう。
モチーフを探す際は、ネットや本などから探すといいでしょう。
自分の描きたいテイストが平成レトロなのか昭和レトロなのか、どちらのイメージに近いかを決めておくと調べやすいです。
step1 レトロなモチーフを選んでみよう
見る人がなつかしさを感じられるようなモチーフを選んでみましょう。
1950〜60年代のものを参考にクリームソーダと喫茶店をモチーフにしてみました。
また服装もレトロなAラインワンピースを選びます。
今回は、90年代アニメで使われているようなカラーパレットで色を塗ります。
全体的に彩度は低めで青みがかった配色ですが、カラフルに見えるように色数は多めに使います。
大きな面を塗るときはパレット内の色を使いつつ、肌や服の影を塗る際は、必要に応じて濃くしたり薄くしたりしましょう。
step2 色ラフを描こう
シティポップなイメージで、背景には観葉植物を配置したり、ハートやくるくるした形、丸などを散らしてみたりしました。
step3 線画を描こう
レトロな雰囲気を感じられるように、ペンは鉛筆で、線は太さをなるべく変えないで描きます。
昔のアニメ風に寄せて、目のハイライトは大きく描くのがポイントです。
step4 色を乗せて完成
step1で用意したカラーパレットを参考に色を乗せていきます。
肌のハイライトと影の中間にあえて2影を置くことで、より昔のアニメ風のテイストになります。
step5 加工にも挑戦!
よりレトロ感を出すために、昔の絵のようにくすんだ加工をしてみるのも効果的です。
青系の色を、合成モードの差の絶対値で全体に乗せます。
不透明度は20%くらいに設定します。
これだけで彩度が下がり、レトロな雰囲気になります。
ベージュ系の色を乗算モードで全体に乗せます。
不透明度は35%くらいに設定します。
グロー効果をかけます。
レイヤーメニューより「表示レイヤーのコピーを結合」を選択して、結合したレイヤーを複製します。
複製したレイヤーを、フィルターメニューよりガウスぼかしをかけて、合成モードのスクリーンモードに変更してから不透明度30%で乗せます。
90年代のセル画で描かれたアニメっぽい雰囲気になります。
フィルターメニューよりアンシャープマスクをかけ、ぼやけてしまった輪郭をくっきりさせます。
アニメのセル画がずれたような雰囲気を出すために、さらに色収差をかけて完成です。
昭和レトロ風に加工してみよう
平成レトロ風に描いたイラストを昭和レトロ風カラーパレットにしていきましょう。
色調を変更したいレイヤーを選択し、編集メニューから色調補正を選択すると「色相・彩度・明度」の調整機能が使用できます。
肌、髪、服装、背景、小物の色などそれぞれのレイヤーで編集を行い、全体的に彩度を落として黄色に寄せていきます。
色味を変えただけでもレトロな印象にガラリと変わりました。
レトロの雰囲気にあわせて、絵柄や効果も変えてみよう
他にも描きたいレトロの雰囲気にあわせて、絵柄や効果も昭和の少女漫画風にしてみると、より昭和レトロ感が表現できます。
特徴を知ればレトロイラストが描ける!
レトロなイラストの描き方が分からなかった方も、レトロの定義や色合い、モチーフを知ることで、魅力的なイラストを描くことができるようになります。
コツが分かれば、モチーフ選びや色の選び方もオリジナリティが出せるようになり、新しいイラストがどんどん描きたくなるでしょう。
それでも躓いてしまったときや、アドバイスが欲しい時は、スクールへ入校することも検討してみてください。
イラスト・マンガ教室egacoでは、講師がプロの目線で添削からイラスト制作をサポートします!ぜひこの記事を参考に、レトロイラストの制作にチャレンジしてみてくださいね。