靴を簡単に描く3つのポイントを伝授!基本の靴の種類やコツを解説
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
靴は、キャラクターの個性や表現に役立つアイテムの一つです。
しかし靴が描けずに、全身の絵を描くことを諦めた経験はありませんか?
靴は以下の3つのポイントを押さえると上手に描けます。
靴のことを理解し、自分の好きな靴を好きなキャラクターに履かせてみましょう。
靴を上手に描くための3つのポイント
足と靴のアタリを描く
足のアタリを描かずに靴を描き始めてしまうとバランスが崩れたり、大きすぎたり小さすぎたりする原因になります。
靴の種類を決める
靴の種類を決めると描く靴の資料を集めやすく、より描きやすくなります。
靴の描き順を知る
どの靴でも描き方はほぼ同じ描き方です。コツを掴むと様々な靴を描くことができます
足の構造を意識しよう
靴を上手に描くためには、足の形を知ることが大切です。
この構造を理解すると、靴の立体を意識しやすく思い通りの角度で描けます。
足のパーツを覚えよう
足を分割すると画像のように5つのパーツに分けて考えられます。
- くるぶし
- かかと
- 足の甲
- 指の付け根
- 指
各パーツの奥行きや手前のパーツで、見えない部分などを立体的に意識することによって、靴の立体感の崩れを防げます。
またそれぞれのパーツを単純な図形に置き換えてみると形を把握しやすいです。
特に「足の甲」「かかと」を意識すると描きやすくなります。
靴の大まかな種類と描き方を知ろう
足の構造を学んだら、靴の種類も知っていきましょう。
靴はデザインや素材ごとに様々なバリエーションがあります。
ローファーやヒールにも様々な種類や形がありますので、こちらを参考に描きたい靴の資料も集めてみましょう。
スニーカー
スニーカーとは、布製や皮革製でソールがゴム底で作られたスポーツシューズや運動靴を指します。
ゴム底であることがスニーカーの定義となるため、デザインや素材、カットの高さは自由に設定して構いません。
スニーカーの種類
デザインの違い
紐靴タイプは、スニーカーの中では特に目にするデザインで紐の編み込み方も様々です。
スリッポンは、紐のないデザインのもので素材によってカジュアルにもフォーマルにも履き分けられます。
ベルクロ(マジックテープ)は、スポーティな服装と相性がよいデザインのスニーカーです。
素材の違い
スエードとは、裏皮を起毛させた素材のものです。
光沢はあまりなくもそっとした質感が特徴です。
レザーは光沢感のある素材のため、ハイライトを入れるのが描き分けのコツです。
反射光など複数の光を意識しましょう。
キャンバス地は、綿や麻から作られた布の素材です。
描き分けるときはクリップスタジオの素材で靴の質感を表現することもお勧めです。
カットの高さの違い
ローカットは、くるぶしよりも下に履き口があるものです。
日常使いの他、ランニングなどスポーツにも活用されています。
ミドルカットは、くるぶしが隠れる程度の高さに履き口があるものです。
ローカットとハイカットの中間のカットで、適度なボリュームがあります。
ハイカットは、くるぶしよりも高い位置に履き口があるものです。
足首をガードしているため、バスケットなどの激しいスポーツにも活躍します。
スニーカーの描き方
step1 足と靴のアタリ
①足の裏よりも大きめにアタリを取ります。
②足首を包むようにアタリを伸ばします、靴底もしっかり描いていきましょう。
③靴の厚みも表現していくと立体感が出てきます。
step2 アタリを元に清書
④アタリに沿ってパーツごとにシルエットを描きます。
中心線を引くとバランスが取りやすいです。
⑤細かな装飾を加筆して完成です!
スニーカーを描く時の注意点
- スニーカーの中心線を意識して細部を描きます。
- 服と同じく生地の厚みをしっかり描きましょう。
- スニーカーのソールは種類によっては、つま先にかけて薄くなるタイプや、厚みが均一なものがある為意識してみましょう。
- 靴紐部分はタン~つま先の約2/3を目安にします。タンとは、足の甲から靴の履き口へ向かって甲部分を覆い保護するパーツのことです。スニーカーの種類によっても変わりますので、描きたいデザインに合わせましょう。
靴紐の描き方
靴紐を描く際は紐の上下関係を意識しましょう。
基本的には上から下、下から上にを繰り返すように描きます。
パンプス
パンプスもスニーカー同様に様々な種類があります。
特にヒールのデザインや高さ、素材の違いは幅広く描き分けられます。
ここで紹介したもの以外にも色々なものがあるので、アイディアの引き出しを増やすためにも積極的に調べてみましょう。
パンプスの種類
デザインの違い
セットバックとは、かかと側にヒールがつけられているデザインです。
フレンチは、つけ根が太く、真ん中でくびれているヒールです。
コーンは、つけ根が太く先端に向けて細いデザインです。
ウェッジソールは、くさび形のヒールです。厚底のデザインが多いのが特徴です。
ピンは、かかとから地面に向かって伸びる非常に細いヒールで、脚の形がきれいに見えるデザインです。
チャンキー、太く安定感のあるデザインのヒールです。
素材の違い
クリアは、透明な素材でサンダルに使用されることが多いヒールです。
スタックは、皮や薄い木の板を重ねたものです。
コルクは、スタックに比べて軽く耐久性に優れた素材です。
ヒールの高さ
ローヒールは、2~3cmの高さでカジュアルな場面で好まれます。
キトゥンは、3~5cmの高さでフォーマルな場でも履かれます。
ミドルは、4~6cmの高さを指し、歩きやすさとスタイルアップが望めます。
ハイは、7cm以上の高さでウェッジソールやピンヒールの靴などに多く見られます。
パンプスとヒールの描き方
ヒールの高さによって足の形が変わります。
ヒールは足先が細くなりスタイリッシュに見えるのが特徴です。
またヒールを履くことにより背筋が伸びるため、全身で描く場合は姿勢や重心にも注意しましょう。
step1 足と靴のアタリ
①AとBの2か所の接地面を描きます。
接地面を描くのが難しい場合、赤い輪郭線のみでもよいです。
ただ、ここはAとBの高さがヒール分違うので注意しながら描きましょう。
②それぞれの接地面の布をつま先とかかとの全体を包むようなイメージで描きましょう。
③Aのかかと、Bのつま先の線を繋げて履き口を描きます。
足の甲に中心線を描いておくとラインが描きやすいです。
step2 アタリを元に清書
④ヒールはかかとの接地面から下に下ろすようなイメージでアタリを描きます。
⑤ヒールの立体感、靴底の厚みなどを描き加えて完成です!
パンプスを描く時の注意点
- 足の甲~靴の先までのシルエットを直線で描かないように注意しましょう。指の付け根で角度が変わります。
- ヒールはかかとから垂直に下ろすイメージで描きます。ヒールのデザインは太いものから細いものまで様々ですので、好きなデザインで描き分けましょう。
- 靴底を忘れずに描きましょう。
革靴
ローファーや革靴は縫い目のところに凹凸が出来るので、凹凸にも影やハイライトがあると立体感や情報量が上がり、完成度が上がります。
またローファーの装飾には、リボンやタッセルなどもあります。
カジュアルやフォーマルといった場面に合わせて使い分けましょう。
革靴の種類
ストレートチップとは、つま先の辺りの切り替えが一文字(ストレート)になっている革靴のことです。
プレーントゥとは、つま先部分に一切装飾がされていないデザインの革靴です。
Uチップとは、甲の切り替えがU字型になったデザインの革靴です。
モンクストラップは、靴紐ではなく、外側に大きなバックルがついているのが特徴です。
ベルトとバックルで甲の高さを調節できます。
ウィングチップとは飾り皮がW字型の切り返しで縫い付けられており、その形が羽に見えることからそう呼ばれます。
つま先部分に「メダリオン」と呼ばれる穴飾りがあるのも特徴的で、靴全体にメダリオンが施されているものは「フルブローグ」と呼ばれます。
サドル部分にタッセルがついているローファーのことをタッセルローファーと言います。
サドルとは、甲部分に帯状の馬鞍(サドル)の形をしたものをサドルと呼びます
また革靴ではタッセルをレザー仕様にしたものが多く見られます。
ヴァンプローファーは、足の甲部分に装飾の無い、シンプルでスタイリッシュなデザインのローファーです。
ベルトローファーは足の甲部にベルトがついたローファーです。
ベルトのデザインも幅広く、アレンジがしやすいです。
ビットローファーは、足の甲部に金属アクセサリーがついたローファーです。
カジュアルな印象もあり、普段履きも可能です。
素材の違い
スムースレザーとは、革製品の中では一番スタンダードな素材です。
エナメルほど光沢はありませんが、程よい光沢があります。
スエードは汚れにくく頑丈な為、砂漠などの過酷な環境下で使われることも多いです。
エナメルは皮にエナメル加工をした皮の事をエナメルレザーと呼びます。
パテントレザーという別名もあり、防水性に優れています。
ローファーや革靴の描き方
ローファーと革靴は、素材と構造が似た素材と構造の靴ですので、基本の描き方は同じです。
男性の革靴を描く場合、つま先を長く描くことを意識しましょう。
step1 足と靴のアタリ
①足のアタリを描いた後、つま先を少し尖らせるように靴底を描きます。
②かかと部分は高く、つま先にかけて低くなるように側面を描きます。
③甲部分にタン、かかとにヒール、靴底にソールなどを加筆します。
step2 アタリを元に清書
④アタリに沿って靴の素体を描きます。
⑤細かいパーツや縫い目を追加して完成!
ローファーを描く時の注意点
- タン部分は大きすぎないように注意しましょう。
- かかと~つま先にかけての線は直線的に引きます。
- タンの付け根はつま先とかかとの真ん中くらいを目安にしましょう。
- ソールの厚みに変化を付けます。
- ヒールの高さがあるため、地面と靴底の間に空間を作ります。
オリジナルの靴を描く手順を学ぼう
step1 足を描く、または靴底を描く
裸足のパーツを意識しながら描きます。
足の甲の厚みを意識しながら描くと、より立体を認識しやすいです。
step1 靴のアタリを描く
ソールと地面の接地面を描いて、靴の角度をイメージします。
接地面が無い場合は、底の面を意識して描きましょう。
この時デザインを固めておくと清書するときに迷いが少なくなります。
step3 アタリを元に靴を清書する
アタリを意識しながら描いてみましょう。
靴の底が見えている構図なら、靴の裏の模様や装飾等も描き込むとクオリティが上がります。
靴の種類は多岐に渡りますので、自分が描きたい靴の資料を見ながら描き進めましょう。
基本的に知らないものは描けないと考え、理想の質感やライティング、描きたい靴の資料ををいくつも準備することがなにより大切です。
資料を集めてクオリティを上げる
絵を描く上で最も大切なことは使える資料をいかに集めることが出来るかになってきます。
参考資料が多ければ多いほど、画力にも直結します。
以下のクオリティを上げるポイントを押さえて描きこんでみましょう。
クオリティアップのポイント
足の素体よりも大きめに靴を描く
足の甲やかかとのカーブに合わせてゆとりを持った形になっています。
足の素体と靴がぴったり重なるように描くのではなく、足を包むように大きめに描きましょう。
可動域を邪魔しない
くるぶしや指の付け根~足の甲までの可動域に、靴のかかとやタンが当たらないようにしましょう。
靴ずれが起きやすい部分にはトップラインを持ってこないようにしましょう
トップラインとは靴の履き口の事をさします。
足の甲の角度にメリハリがある
足の甲からつま先に描けて角度を付けることによってスッキリした見た目になります
つま先がしっかり上がっている
ほとんどの靴は「トゥスプリング」と呼ばれる、つま先が少し上がった構造をしています。
つま先に余裕がない
つま先にしっかりと余裕がある歩く時に足は靴の中で前後するため、靴の先からつま先の間に1cm程度ゆとりを持って描きましょう。
シルエットから靴を描くと時短に繋がる
厚塗りをする場合、線画でなくシルエットから描くと時短に繋がります。
最初に靴のシルエットを描き、そこから描き込みをしてみましょう。
まずは足、靴下、靴に分けてシルエットを取り、パーツ毎に色分けします。
この時少し影を付けておくと、立体が掴みやすいです。
はみ出し防止で「不透明保護」や「クリッピング」を活用してみましょう。
不透明保護(透明ピクセルをロック)とは、選択中のレイヤーの描画されている範囲以外には描画できなくなる機能です。
クリッピングとは、クリッピング元レイヤーに描画されている範囲にしか描画できないようにする機能です。
靴下や靴のシルエットから、明るい色や映り込みを描きこんでいきます。
ビットローファーの装飾を描きます。
後から修正しやすいように乗算で全体的に軽く色を置きます。
乗算で色を置くことで、乗算レイヤーの色相を変更するだけで靴下の色を変えることが出来ます。
置く色はイラストの雰囲気やテーマで決めましょう。
強い影やハイライトを加えつつ、色味を調節しながら描き込みをしていくと完成です。
自分に合った靴の練習法を探そう
今回は良く描く種類の靴の描き方をまとめました。
キャラクターの足先まで丁寧に描くことで作品全体の魅力も上がります。是非魅力的で個性的な靴を描いてみてください!
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