印象的なまつ毛の描き方講座！キャラの目はまつ毛次第でもっと輝く

キャラクターの顔でも特にこだわって描きたいのが目元ですね。

ただ、いざ描いてみるとまつ毛の生え方が不自然になったり、憧れの絵師さんの絵と比べると何かが違うのにわからない……と悩むことありますよね。

キャラクターのまつ毛を上手に描くコツは「まつ毛の構造を理解して、絵柄にあわせてデフォルメする」ことです。

ここでは、描きたい目のイメージが掴めるよう、絵柄にあったまつ毛のバリエーションやまつ毛の描き方基本をお伝えします。

まつ毛の構造と基本のポイントを理解しよう

まつ毛には、ゴミやホコリなどの異物が目に入って傷つかないように保護する役割があります。

毛根と周辺には知覚神経が集まっており、接触したものを敏感に感知して反射的にまぶたを閉じさせるよう働きかけます。

まつ毛の種類は、上まぶたに沿って生える「上まつ毛」と下まぶたに沿って生える「下まつ毛」の２通りとなります。

まつ毛を上手に描くコツは、実際の目を参考にまつ毛の構造を理解して描くことです。

構造を理解することで、違和感のない自然な目元に仕上げられます。

上下のまつ毛は、まぶたのフチから外へ広がるように生えます。

右図のように眼球から直接生えるように描いてしまうと、構造的に間違いとなってしまいます。

またまつ毛は、目を保護する役割のためにゴミやホコリがキャッチしやすく毛先が緩やかにカールしています。

左図のように上下へ向かってまつ毛を垂直に描くと、まぶたに直接線を描いたような不自然なまつ毛となるので注意しましょう。

また人間の体毛は、生まれや遺伝によって色素が異なります。

髪の毛だけではなく眉毛やまつ毛にも少なからず影響しますので、髪色がブロンズ（金髪）であるとまつ毛にも色素が薄いものが混じる体質の方もいます。

キャラクターの髪色にあわせて、まつ毛の色にも違いを持たせてみましょう。

また日本人女性の平均的なまつ毛の長さが約７ミリなのに対し、欧米人女性の平均的なまつ毛の長さは約８ミリと少し長いのです。

密度にも違いがあり、日本人女性が１ミリあたり2．6本なのに対して欧米人女性は１ミリあたり3．4本となります。

まつ毛の本数や長さを描き分けると、日本人か欧米人かなどの違いも表現できますね。

まつ毛をデフォルメして描きたいイラストに近づけよう

キャラクターの目を描く場合、一般的には漫画的なアレンジを加えたりデフォルメして描くのが主流です。

それに伴い、性別や絵柄、性格の違いでもまつ毛を幅広く描き分けられます。

まつ毛のバリエーションを知っておけば、自分好みのキャラクターメイクに活かせますね。

男女別！まつ毛を描き分けるコツを解説

女性キャラクターのまつ毛を描くなら

女性キャラクターのまつ毛は、上下の描き込みや長さ、密度の違いだけでも大きく印象が変わります。

また男性に比べて長めに描かれる傾向で、華やかな目元に仕上げるのがポイントです。

可愛い系まつ毛の描き方コツ

上まつ毛を中心に長く均等に描き、生え際から上へ向かってカールさせると目全体がぱっちりと大きく見えるため可愛らしい印象を与えます。

下まつ毛は、上まつ毛に比べて短く控えめな密度で描くのがコツです。

クール系まつ毛の描き方コツ

上まつ毛を目尻側へ長く描き、生え際から伏し目がちにカールさせたまつ毛を数本混ぜると、クールな印象となります。

下まつ毛は短めに、密度を増やすと年齢が高くなったり美人度がアップします。

ボーイッシュ系まつ毛の描き方コツ

上下ともにまつ毛をほとんど描かないか、短く控えめに描くことで少年っぽい印象を与えます。

目尻の付近にピンポイントでまつ毛を描くと、キャットライン（猫目メイク）効果で明るく前向き、または強気な性格に見せられます。

男性キャラクターのまつ毛を描くなら

男性キャラクターのまつ毛は、女性に比べるとほとんど描かないケースが大半です。

そのためまつ毛を描くと美少年やイケメンといった中性的な印象にできたり、欧米人として描き分けられます。

美少年系まつ毛の描き方コツ

上まつ毛の目尻や目頭を中心に、少し短く描くよう意識しながら生え際から上へ向かってカールさせると少年ながらも中性的な印象を与えます。

下まつ毛は、上まつ毛より短いですがお好みで密度を決めてOKです。

イケメン系まつ毛の描き方コツ

上まつ毛は、ほとんど描かないか控えめな密度で下がるように描きます。

お好みに合わせてキャットライン（猫目ライン）を追加しても良いでしょう。

下まつ毛は描かないか、短く控えめに目尻の付近にだけ描けば男性的になります。

美意識系まつ毛の描き方コツ

上まつ毛は、目尻や目頭を中心にすこし長めに描いても良いでしょう。

下まつ毛は、しっかり目の密度で描くと女性っぽく中性的な印象が強くなります。

目尻に向かい下がり気味なキャットラインや垂れ目っぽく描くのも効果的です。

絵柄（頭身別）でまつ毛を描き分けよう

絵柄や頭身にあわせてまつ毛を描き分けましょう。

２頭身のＳＤキャラクターなのに密度が多く細かいまつ毛が生えていたり、

８頭身くらいのリアルタッチなのにデフォルメの強い漫画的なまつ毛で描かれているとアンバランスな印象になってしまいます。

頭身にあわせてデフォルメ具合を調整すれば、バランスのよい絵柄で仕上げられます。

リアル系・キャラ系・ＳＤ系で比べてみましょう。

リアル系まつ毛

７頭身以上であったり、大人キャラや劇画タッチに近い絵柄と相性が良いです。

実写の目に近い形になるため、まぶたのフチから１本ずつ丁寧に描きこみます。

上まつ毛の密度を多く、下まつ毛は控えめにすると自然な印象に近付きます。

キャラ系まつ毛

４～６頭身ほどの少年少女、アニメや漫画タッチにあわせてデフォルメされます。

ジャンルによって描き方のバリエーションが幅広く、個性的なものも多いです。

上まつ毛を中心に１０本未満か十数本程度で描かれる場合が多く見られます。

ＳＤ系まつ毛

２～３頭身ほどのミニキャラにあわせて大きくデフォルメされたまつ毛です。

線ではなく、大きな三角形のかたちで描かれる場合も多く見られます。

上まつ毛を中心に５本未満で１本１本を厚めに描くと可愛らしくなります。

少年キャラの場合、まつ毛を描かないことで男女差を表現します。

キャラクター（個性）でまつ毛を描き分けよう

まつ毛の描き方１つ変えるだけでも、キャラクターの個性や顔の印象が引き立ちます。

個性にあわせたまつ毛の描き分けを練習してみましょう。

例えば素朴で大人しい印象にしたい場合、まつ毛を描き込みを減らして目全体の印象を控えめにしましょう。

印象の強いまつ毛は、マスカラで化粧した状態のような華やかな印象になってしまいます。

また異国感や人間を超越した存在感を出すように描き分けられます。

まつ毛を下へ向かって長く密度を多めに描いてみたり、まつ毛の束を白抜きにすると透明感が出てミステリアスな印象を持たせることができます。

これら以外にも、アイデア次第でさまざまなキャラクター分けが出来ます。

ぜひあなたのキャラクターにあわせてまつ毛を描き分けてみましょう。

まつ毛の流行りの描き方とは

昨今のイラスト業界で流行している描き方に「まつ毛の白抜き」表現があります。（2021年８月現在）

発祥は定かではありませんが、まつ毛に反射した光をデフォルメして描いた説や、まつ毛の生え際をデフォルメしたとされています。

キャラクターの目の表現は、その当時を象徴するアニメや漫画カルチャーから強い影響を受けて１０～２０年を目途にどんどん移り変わっていきます。

ただし流行の描き方が、ジャンルや作家性と直結するわけではありません。

いろんな媒体からヒントを得て、自分の絵柄にあわせたまつ毛を描きましょう。

まつ毛にこだわって魅力的な目元にしよう

キャラクターを描くうえで、目の印象は１、2を争うほどにキャラの魅力を左右します。（目の描き方はこちら）

ただ独学で描いていると、自分の絵柄にあった目元だったりどんな風に描きたいのかイメージが湧かず悩むときもありますよね。