映える目の塗り方|キラキラした瞳でキャラクターに命を吹き込もう
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
目次
キャラクターの瞳を塗るとき「大体こんな感じ」と曖昧に塗っている方は多いのではないでしょうか。
瞳はキャラクターの印象を大きく左右する重要なパーツであり、その中でも「瞳をどう塗るか」はイラストのオリジナリティ、自分らしさを表現する大事な要素でもあります。
好きな絵師さんの様に魅力的な瞳が描けない、キラキラにしたいのに輝いているように塗れない。そんな方はこの記事を要チェック!
理想の輝く瞳の塗り方のヒントがつかめるはずです。
映える目の塗りは「瞳孔」と「虹彩」の理解から!
瞳の中には「瞳孔」と「虹彩」があります。
正面から見た時、目の中央部にある黒目の部分が「瞳孔」、
瞳のまわりを囲んでいる茶褐色の部分が「虹彩」です。簡単に言うと「黒目」の部分を指します。
そして瞳にどのように「光」と「影」が当たっているのかを描くことで瞳の印象が変わります。
自然な「瞳孔」と「虹彩」を描くコツとは
瞳には多様な描き方や表現方法があります(『鬼滅の刃』のように瞳孔の形を♦にしたりなど)。
しかし、基本の形や位置から大きくズレてしまうと、普通と違った不自然な形にもなりかねない為アレンジの度合いには気を付けましょう。
「虹彩」は丸い形が基本とおぼえよう
縦長すぎたり角ばっていたりなど、ランダムな形はバランスが悪く見え、不安定な印象になります。
「瞳孔」は「虹彩」の中心に描こう
視線を変える為にあえて中心からズラす場合もありますが、高度なテクニックの為、上手くいかない事が多いです。基本的には瞳孔は中心に描く事を心がけましょう。
目の塗り方で知っておくべき基本とは
「光」と「影」の入れる場所を知っておこう
「光」には2つ種類があります、1つは「ハイライト」もう1つは「反射光」です。
直接当たっている光を指す「ハイライト」に対して、「反射光」はその名の通り別の場所に当たった光が反射し間接的に当たる光の事です。
この2つの光を区別して入れてあげる事で宝石の様な輝く瞳に近づきます。
「光」は光源に近いところに入れよう
瞳はビー玉の様な球体をしていて、日光や電灯など光を放つ「光源」に近い位置に丸く光が入ります。下からの光ではない限り、瞳上部が光る事が多いでしょう。これが「ハイライト」です。
「反射光」は頬など肌に反射した光が、瞳下部に当たります。反射した光は明るさが弱くなる為「ハイライト」よりも加減して入れてあげる事がポイントです。
「影」は瞳上部に落ちると覚えよう
結論から言うと瞳の影は前髪や上まぶたから落ちる影のみなので、瞳上部が暗く「影」が入ります。
それ以外の場所、瞳下部などに入れてしまうと瞳全体が暗くなってしまうので注意しましょう。
目を塗る手順を初心者にも分かりやすく解説!
まずは瞳の基本的な塗り方をマスターしよう!
- STEP01 ベースを塗る
- 瞳の色を決めましょう。後から光や影を追加する事を考えて明度や彩度を低すぎず高すぎず中間色にしておく事をおすすめします。 これが瞳のベース下地になります。瞳の線画レイヤーの下に移動しておきましょう。
- STEP02 影を入れる
- 瞳上部にベースより濃い色で影を入れていきます。この時瞳の立体にそうように意識しましょう。垂直に入れてしまうと瞳の立体感を損なう原因となってしまいます。 影のレイヤーはベースの上に置きクリッピング設定にしておきましょう。
- STEP03 反射光を入れる
- 瞳下部にベースより明るい色で反射光をいれていきます。扇形を意識して半円を描きましょう。こちらも、垂直に入れてしまうと瞳の立体感を損なう原因となってしまいます。 反射光のレイヤーもベースの上に置きクリッピング設定にしておきます。
- STEP04 ハイライトを入れる
- 今回は右上を光源に設定しました。瞳右上に反射光よりも更に明るい色で丸くハイライトを入れていきます。この時、大きさや形で瞳の印象が大きく変わる為、自分好みのハイライトをみつけましょう。ただし、丸い形から変形する程自然に見せるのが難しくなります。 線画の上にハイライトが重なる事が多い為、線画の上にレイヤーを移動しましょう。
目を塗る全行程共有の注意点とは
右目と左目、左右対称に塗れていますか?左右の「光」「影」の入れ方で差があるとアンバランスに見えてしまいキャラクターの魅力を下げてしまう原因にもなります。
特に「瞳孔」や「ハイライト」は瞳の中でも目立つポイントになる為、お顔の角度が正面でなく斜めを向いていたとしても左右同じ位置になるよう注意をしましょう!
一工夫して、更に魅力的な瞳の塗りへ!
瞳を輝いているように見せる為には、書き込み量を増やす、色を増やす、など情報量を増やす事で、宝石のカッティングの様に光が屈折し輝いている様にも見せられます。
基本の塗り方をマスター出来たら以下の要素を追加してみましょう!
目に虹彩の模様を描く
瞳をよく観察すると、虹彩の 中に線が入っている事が確認できます。書き込み量を増やすためにも、描写してあげると良いです。カラーコンタクトレンズの模様をイメージすると自然な仕上がりに近づきます。
目にテクスチャ素材を追加する
自分で虹彩の模様など書き込んでみたものの、少し物足りない気がする。という時にはテクスチャ(質感)素材を追加してみましょう。
「単色パターン」素材の中から「漆喰」を選び、ドラック&ドロップでキャンバス内に追加します。
ベースの上に配置し「クリッピング」後「レイヤープロパティ」内の「質感合成」にチェックを入れましょう。
ハイライトより弱い光を増やす
一番明るい色「ハイライト」を増やしてしまうと、視線があやふやになってしまう為、ハイライトより弱い光を散らしてより輝きをUPさせましょう。
色数を増やし目を鮮やかに
色が統一されてある瞳もシンプルで素敵ですが、色数を多く使うとゴージャスな印象を与えやすいです。色数が多すぎるとまとまりが無くなってしまうので注意!また、暖色と寒色の組み合わせは反発してしまう為、ベースで使っている色の隣り合う色を使う事をおすすめします。
色の差をつけ目力UP!
色と色の差があまりなく、全体的に同じ色だとぼんやりみえてしまいがちです。暗い所は暗く、明るい所は明るくしっかりと色の差をつけましょう!
まつ毛にも光や色の変化をつけよう
上記の書き込みを行っていくと「瞳の書き込み量は多いのに、まつ毛はシンプル」という違和感に気付く人が多いと思います。この違和感を無くし自然に見せる為に、
まつ毛も瞳と同じく「光源」に近く眼球が一番突出している場所に「光」を入れてあげましょう。また、目頭・目尻辺りをやや赤みのある色にすると「粘膜」の色を表現する事が出来てナチュラルな仕上がりになります。
目のうつり込みを描く
現実の瞳にはその人が見た情景が映り込んでいます。その映り込みを描写する事でリアリティと立体感を与える事ができます。こちらも書き込み量を増やすために描写してあげると良いです。
瞳の塗り表現のバリエーションを紹介!
宝石のような目
宝石のカッティングの様な描写をする事でゴージャスな輝きを表現できます。
宝石のような目の塗り方
- テーブルと呼ばれる、上面で最も大きな面積を占める部分を多角形で描きます。お手本では8角形ですが、6角形、7角形でも問題ありません。
- スターファセットと呼ばれる、テーブルに隣接する形で星型に広がる小面を三角で描いていきます。
- ベゼルファセットと呼ばれる、②のスターファセットと④のアッパーガードルファセットとを結ぶ面をひし形で描いていきます。この部分が瞳の虹彩模様になるイメージです。
- 残った面積がアッパーガードルファセットと呼ばれる面になります。こちらは③のベゼルファセットと色の差がはっきり出る様にだけ気をつけましょう。
リアルな目
彩度の高い色を使いすぎず、目尻目頭の粘膜やまつ毛などを細かく描写する事で表現できます。
リアルな目の塗り方
リアルな印象にする為に根気強く写実的に描いていきます。瞳をカラーデッサンするイメージです。
- この記事の「瞳の基本的な塗り方」まで塗り進めておきます。
- 現実の瞳の画像を参考にしつつ、虹彩の模様や中間の色を細かく描き込んでいきます。
この時①の基本形から、大きく印象が変わりすぎない様に注意しましょう。
また、色味も鮮やか過ぎず落ち着いた色味を使うとナチュラルな仕上がりにできます
うるおった目
虹彩のアウトラインを描写せず塗のみにする事でみずみずしい潤いのある瞳を表現できます。
うるおった目の塗り方手順
あえてハッキリとした描写はせずぼんやりとさせる事でうるうるとした瞳の瑞々しさを表現します。
- 境界線になる黒目の線画は削除してしまいます。
- 瞳の塗りを全て統合し「ぼかし」をかけて白目と黒目の一体感を出します。
- 影や反射光の境目が少し目立っているので、境界がなくなるようになじませます。
- 細かいハイライトを沢山散りばめ「うるうる感」を表現します。この時色相を細かく変える事で、単調にならずぼんやりとした中にも輝きをプラスできます。最後にお好みで白でハイライトを描き加えれば完成です。
ビビットな目
彩度の高い色を多数使い、コントラスト強くつける事で鮮やかで印象的な瞳を表現できます。
ビビットな目の塗り方
- 彩度が最大に高い色を使いましょう!カラーサークルで色を選ぶ際「上段水平・右サイド垂直」の範囲から選びます。
- ベースにしている色の「反対色(補色)」を使って反射光を描きます。更に反射光の中心に向かうにつれて段々と明度が高くなるようにグラデ―ションを作りましょう。
- 瞳上部の影部分も段々とベースの色に馴染むようグラデーションを作ります。彩度とコントラストの高さがポイントの為、影の色を濃いめに設定しておくとハイライトを入れた際にハッキリと色の差が出て良いでしょう。
- 減法混合の三原色と呼ばれる、シアン・マゼンタ・イエローで細かいハイライトを散らしていきます。目がチカチカしてしてしまう組み合わせの3色ですが、その分まぶしい様な強い印象を与えます。最後にお好みで白でハイライトを描き加えれば完成です。
透明感のある目
ビビットとは逆に色と色の差があまりない淡い色使いをする事で瞳のツヤを表現できます。
透明感のある目の塗り方手順
- この記事の「瞳の基本的な塗り方」まで塗り進めておきます。境界線になる黒目の線画は削除してしまいます。
- 白目と黒目の境目をクロスハッチングでなじませていきます。瞳孔やハイライトなどの境界もハッキリした境目が目立たなくなるように描き込んでいきましょう。
- 白色でザックリと映り込みの光の形を描いたら、窓の格子の様に消しゴムで形を整えます。ハイライトの境界に色を足すと光の透け感を表現する事が出来ます。
- 最後に眼球全体のハイライトや、虹彩の模様を白で書き加えれば完成です。
目の塗り方のおさらい
このように「瞳孔」「虹彩」「影」「光」をどう描くか、どのくらい書き込みを加えるかによって瞳の印象は大きく変わります。
最後に瞳の塗り方のポイントについておさらいしてきましょう。
- 「瞳孔」「虹彩」の形と場所に注意しよう。
- 「影」は球を意識し眼球の形に沿っていれよう。
- 「ハイライト」は「光源」に近い場所にいれよう。
- 「瞳孔」や「光」などは左右対称になるようにしよう。
- 「映り込み」や「反射光」など書き込み量を増やす事でクオリティを上げよう。
- 「まつ毛」「粘膜」など眼球以外の部分も意識してナチュラルに仕上げよう。
今回ご紹介した塗り方もほんの一例であり、絵を描く人の数だけ瞳の塗り方があります。基本の塗りをマスターした後は、ぜひ自分なりの瞳の塗り方を見つけてみましょう!
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