【簡単】木の描き方を種類別に解説!木らしさをお手軽表現で描こう
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
目次
「木」は、公園や学校、またファンタジーの世界でも多くあふれているので、背景に必須と言っても過言ではありません。
絵を描く方なら風景画に限らずイラストの背景に木を描くタイミングも多いでしょう。
でも、建物などの人工物と違って木は自然物なのでとらえどころがなく「うまく形がとれない」「どこか木らしく見えない……」と悩むこともありますね。
上手に木が描けない原因は木の構造や形のとらえ方をきちんと理解していないからです。
ここでは「木」の構造を分析しポイントを押さえて、手間をかけなくても木らしく描く方法を解説します
まずは木の種類・特徴を知りイメージを固めよう
なんとなくぼんやりとしたイメージで描き始めると、どこか木らしく描けず違和感が生じます。
自分の描きたい木はどんな種類でどんな特徴を持っているのか把握して、よりイメージを明確にします。
針葉樹
葉が針状にとがっているモミやマツなどの木のことで、その大半が冬でも葉をつけている常緑樹に分類されます。
上に向かってまっすぐに伸び、二等辺三角形のようなシルエットが特徴です。
これは、木の幹が曲がらずにまっすぐ伸びていき、そこから細い枝が放射状に延びるためです。
成長の最適温度も低いものが多く、やせた乾燥地によく耐えるため、寒冷地に多く分布しています。
広葉樹
葉が広く平たいサクラやケヤキなどの木のことで、秋などに葉を落とす落葉樹に分類されます。
縦横に広がりがあり、全体的に丸っぽいシルエットが特徴です。
これは、木の幹が枝分かれを繰り返し様々な方向に伸びるためです。
双子葉植物(そうしようしょくぶつ)が圧倒的に多いですが、ヤシ科、リュウゼツラン科など、単子葉植物(たんしようしょくぶつ)もこの広葉樹にふくまれます。
四季があり特別暖かくも寒くもない気候に住んでいる日本人は、木と言えば広葉樹をイメージする人が多いでしょう。
単子葉植物(たんしようしょくぶつ)
葉の形が細長く、葉脈が平行脈であることが共通する特徴です。
その大部分が草本(木にならない植物)であり、木本になるものが少ない植物です。
イネ科やラン科などもこのグループに属しますが、今回は代表としてヤシ科をピックアップします。
熱帯に分布する物が多いため、イラストで暖かい気候を表現したい際には単子葉植物が向いています。
低木
木の種類ではなくサイズを表す言葉です。
5m以上の木を高木、成長しても3m以下の木を低木、高木と低木の間のサイズを中木と呼びます。
低木には画像のように3タイプあります。
- 膨らむ様に成長するタイプ
- 縦に伸びずに横方向へ伸びるタイプ
- 一本の幹を持つ立ち木タイプ
紫陽花やローズマリーなども低木に分類されますが、一般的に低木=生垣(植物で作った敷地を隔てる境界線)というイメージが浸透しています。
種類別に木の描き方の手順をおぼえよう
広葉樹の描き方
①幹と枝から描き進めます。
地面と枝の高さは意外と低いです。
②枝が伸びている箇所におおまかに葉を付け足します。
③手前に出ているように見せたい箇所に固有色を置きます。
④光が当たっている箇所に明るめの色を入れましょう。
⑤遠近感を出す為に光源の逆から青よりの色で反射光を入れます。
⑥葉の形など全体的に微調整をして完成です。
- POINT 葉の陰影は球体を意識!
-
葉のかたまりの陰影は球体を意識しましょう。分かれた枝ごとに葉がまとまってついているイメージです。
針葉樹の描き方
①幹と枝から描き進めます。
地面と枝の高さが近いとより針葉樹らしくなります。
②三角のシルエットを意識して、おおまかに葉を付け足します。
①幹と枝から描き進めます。
地面と枝の高さが近いとより針葉樹らしくなります。
②三角のシルエットを意識して、おおまかに葉を付け足します。
③手前に出っぱっているように、見せたい箇所に固有色を置きます。
④光が当たっている箇所に明るめの色を入れましょう。
⑤広葉樹は円錐形に似ており、上へいくほど光源に近づきます。
高い箇所を明るく、低い箇所を暗くなるように着色します。
⑥葉の形など全体的に微調整をして完成です。
- POINT 針葉樹の葉と枝の特徴を意識しよう
-
葉は、分かれた枝ごとにバナナの様な葉のかたまりが付いているイメージです。 枝は「下段は下向きに、中断は平行に、上段は上向きに」伸びていく事を意識しましょう。
単子葉植物の描き方
①細長くやや曲がった幹を描き、上のほうを2回りほど太くコブ状に描きます。
②中央の幹から、傘の様に放射状に葉を広げます。
- POINT 葉は放射状に広がるイメージで
-
傘のように放射線状に広がるイメージで葉を描きます。 1枚の葉が大きいため、重さによる「葉のしなり」を描くとより自然に見えます。
③手前に突び出ている葉は黄色みの緑に塗り、奥にある葉は濃くやや青みの緑に塗ることで、葉1枚1枚の色を分け遠近感を出していきます。
葉は真ん中にある主脈を頂点に山折りになるため、左右で光の当たり方が変わります。
色を置いていく時には左右で明暗の差をつけましょう。
④仕上げに葉を細かく分割し、葉の形を整えます。
手前に突び出している葉をより黄色みに、葉の根本や奥にある葉をより青みに、幹の光の当たっている箇所を明るくするなど全体的に微調整をして完成です。
低木の描き方
①全体の形(シルエット)をイメージして葉のかたまりを描きます。
②手前に出ているように見せたい箇所に固有色を置きます。
③更に立体感をつけるため、より明るい色を重ねます。
④光が当たっている箇所に黄色みの明るい色を入れましょう。
⑤光を入れた方向の反対側から青よりの色で反射光を入れます。
⑥葉の形など全体的に微調整をして完成です。
注意!木らしく見えない5つの原因と解決法
原因1:シルエットがもこもこしている
大事なポイントは、葉をかたまりとして意識して描く事です。
しかし、実際に丸く描いてしまうと「枝に綿が乗っかっている様に見える……」といった荒削りな印象になりやすいです。
【解決法】丸いシルエットを崩そう
木はひし形のような葉の集合体です。
葉の尖った部分を描いたり、消しゴムで葉と葉の隙間を作る様に削ったりして整えると、自然なシルエットに見えます。
原因2:木が左右対称、形が揃っている
自然物は同じ品種でも全く同じ形の物はなく、様々な大きさや形をしています。
それに対し、人工物は大きさが決まった形が整っている物が多いです。
つまり、左右対称になっていたり形が揃っていたりすると自然物として違和感が生まれてしまいます。
【解決法】バリエーションを持たせよう
枝が生える位置を左右でずらしたり、葉っぱの密度を「多い・普通・少ない」と変化を加え、あえてランダムに描くよう意識しましょう。
原因3:枝が左右のみ、前後の重なりがない
木は円柱形の幹をしており、中心から放射状に枝が伸びます。
広がった枝先には葉が付いて、傘の様な形をしています。
左の図のように、左右にしか枝のない木は奥行きがなく絵看板の様なハリボテっぽさが出てしまう原因です。
【解決法】前後にも枝葉を描き足す
葉の隙間や奥側にも 枝を交差させることで、枝同士の前後関係が出せます。
枝の前後に葉っぱを描き足しましょう。
こういった重なりを作ると「重畳遠近法(ものが重なっているとき、前よりも後ろの物のほうが遠くに見える)」の効果で奥行きのある木を演出できます。
原因4:枝の描き方に規則性がない
先が太い枝は重くて折れてしまうため、物理的に成り立つのが難しく、見る人に違和感を与えます。(左図、緑と青の枝を参照)
また枝の分かれ方には法則があり、「はじめに二股で別れた木はずっと二股」同じく三股は枝先までずっと三股に分かれています。
【解決法】先へいくほど枝を細く描く、枝分かれの法則を意識する
根元から生えている幹部分が一番太く、その後は枝分かれするたびに細くなっていきます。
二股に分かれた枝は、分かれる前の枝の太さと同じになるのです。(右図の青色と緑色のラインで比べた枝の太さを参照)
枝分かれの法則は、厳守せずとも木らしく描けますが、二股から五股に分かれるなど急激な変化は避けた方が良いです。
別れ方をなるべく統一するように心がけましょう。
原因5:幹を茶色で塗ってしまう
一般的に木と言えば茶色というイメージが強いですが、よく観察すると緑がかった灰色っぽい色をしています。
そのため、左図のような鮮やかな赤茶色で木を塗ってしまうと、どこか偽物っぽくしっくり来ない印象となります。
【解決法】彩度が低い色で幹を塗る
木の品種で幹の色は異なりますが「彩度が低く鮮やかではない」という共通点があります。
灰色をベースにしつつ赤みがかった灰色、緑がかった灰色などイメージに合わせてアレンジしましょう。
木の無料DL素材・ブラシも活用してみよう
葉の尖った形や細かい隙間を描くのは、時間と根気がいる難しい作業です。
葉のスタンプの様な素材を使えば、細かい描写が楽になり手軽にクオリティの高い木が描けます。
必ず素材を使った後に馴染むように色や形を調整する、または部分的に使うなど工夫しつつ使いましょう。
木が描けると表現の幅が広がる
木は身近なモチーフだからこそ、マスターすれば様々なイラストに活用しやすく、普段のイラストをもうワンランク上のクオリティへ押し上げる事が出来るでしょう。
でも1人で練習していると、描きたいイメージにあった木を再現するのに苦労したり、違和感があるのに原因がわからなくて悩むこともあります。
身近に相談できる先生や描きたいイメージにあった描き方を教えてもらえたら、楽しんで木を練習できますね。
より詳しく知りたい、学びたいと思われたら是非egacoの個別指導をご利用ください。
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