腰の描き方解説!腰回りの構造を理解して描くコツを掴もう
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
キャラクターの顔やバストアップは描けるのに、腰から下を描こうとすると上手くいかない…。
腰回りを描く際に悩んだり、何度描いても思うように描けなかったり…そんな経験をしている方も多いのではないでしょうか?
腰を上手に描くコツは「腰の基本的な描き方や構造」を知ることです。
基本的な腰の描き方や構造を理解できるように、腰を描くコツやヒントをお伝えします。
腰を上手く描くために!腰の作画基礎・コツを解説
人体の腰回りは、骨盤や脚を繋ぐ太ももの付け根がある重要な部分です。
腰を描くうえで知っておくべき知識は、大きく分けて6つです。
- 腰を描くための基本的な考え方
- 腰の比率とり方
- 腰のパース分け
- 骨盤の形や、腰を描くうえでの重要な筋肉
- 男女での腰の描き分け
- 腰の関節の可動範囲
これらの基本的構造をしっかり理解すれば、難しい腰も描きやすくなります。
腰を描くための基本的な考え方を知ろう
腰は、上半身と下半身をつなぎ体幹の動きをつくる重要な役割を持っています。
腰を描くときは、腰のパーツ単体で考えるのではなく「体幹のつながり、動きをつくる部位」ということを忘れないようにしましょう。
腰を描くときは、「上半身から腰」のパーツのつながりを考えましょう。
上半身と腰のつながりは、肋骨や骨盤のちゃんとした形を描こうとするのではなく、図のような2つの楕円を用いて捉えると分かりやすいです。
上の楕円は肋骨を、下の半円は骨盤を表します。
上の肋骨と下の骨盤の形を捉えた楕円を、それぞれ図のように線でつなぎます。
首の耳の下から左右骨盤の両脇につながる線を描くと、腰から首につながるラインの流れが理解できます。
肋骨の下から恥骨ラインまでVの字を描くようにつながる線は、正面からみた外腹斜筋に沿ってできる線です。
側面、背面になると図のようなアタリのとり方をします。
初心者のうちは、解剖学のような詳細な形で捉えるのは、情報が多くて複雑なためそのまま描こうとすると理解できず失敗してしまいます。
上半身から腰の形を簡単にすれば、腰を描くための基本的な形を理解しやすくできます。
腰を描くために重要な骨盤の形、筋肉を理解しよう
骨盤は、上半身と下半身の接続部分にあたる寛骨(かんこつ)、仙骨(せんこつ)、尾骨(びこつ)を一つの大きな塊として捉えた部分の名称です。
骨盤の構造を理解するうえで忘れてはいけない重要な骨格があります。
上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)です。
上前腸骨棘は骨盤横の骨のいちばん突出している部位のことです。
特に女性は腰を描くうえで身体の凹凸やラインに影響がでる骨格なので覚えましょう。
骨盤の形は、男女で大きく違います。
男性の骨盤
骨盤の位置が高く、縦幅が長く横幅が短いです。
骨盤内が狭く、寛骨の中央に仙骨があります。
寛骨の幅がやや狭くなっており、仙骨と完骨の隙間は狭いハート形をしています。
女性の骨盤
骨盤の位置が低く、縦幅が短く横幅が長くなっています。
出産をする関係で骨盤内が広く、仙骨と完骨の間の空間が広く丸みのある形をしています。
恥骨下角(ちこつかかく)は男女で角度の違いがあり、女性は平均約80度、男性は平均約60度あります。
骨盤を横から見ると、女性は前に男性は後ろに傾いています。
女性は、骨盤が前に傾いてるため骨盤の上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)の部位が身体のシルエットにでやすくなります。
しっかり筋肉を鍛えている男性は、腸骨稜(ちょうこつりょう)、上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)の上に外腹斜筋が乗り綺麗なラインができます。
腰を描くうえで身体のシルエットをなす重要な筋肉は大きく5つに分けられます。
中殿筋(ちゅうでんきん)、大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)、腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)、大殿筋(だいでんきん)、内転筋群(ないてんきんぐん)です。
これらの腰回りにつく筋肉のシルエットを把握すれば、説得力のある腰が描けます。
上手に描ける!腰を簡単に描くコツ
1:腰の比率のとり方コツで上達しよう
腰を思うように描けない原因の一つに、腰が人体に対してどのくらいの比率を有しているのか理解していないことがあげられます。
頭頂部から股間までの長さで捉えた腰の比率は、
1:(頭頸部)1:(胸郭部)1:(骨盤部)が基本です。
上半身を均等に3等分にして区切ると良いでしょう。
腰の比率を把握することで、バランスが良くなります。
2:腰のパーツ分けを知って上達しよう
腰回りの構造は複雑なので、腰をパーツ分けすると、大まかな構造が理解できます。
腰のパーツは図のように、骨盤によって身体に表れるラインを簡単な形のパーツに分けて考えると分かりやすいです。
今回は、大きく3つのパーツに分けて考えます。
- ウエストのくびれから骨盤(腸骨)のラインまでのパーツ(図の青の部分)
- 骨盤(腸骨)のラインから、大腿骨上外部(だいたいこつじょうぶ)のでっぱりにあたる大転子(だいてんし)ラインまでのパーツ(図の赤の部分)
- 骨盤(腸骨)のラインから、股下に向かう部位と太もも(脚)のパーツ(図の緑の部分)
この3つのパーツに簡略化して考えることで腰回りのおおまかな形が理解しやすいです。
また、正面からのパーツ分けをもとに背面、側面でパーツ分けすると図のようになります。
背面のパーツ分けはくびれからお尻の大殿筋群の上部ラインのパーツと、大殿筋群の上部ラインから大殿筋群下部のラインまでのパーツ、大殿筋群下部のラインから太もも(脚)でパーツ分けをします。
男女や動き、ポーズで腰の描き分けるには?
1:男女での腰の描き方の違いを知ろう
女性の腰
女性は骨盤の位置が低いので、肋骨からの距離が遠くなり、くびれができやすくなります。
腰のくびれにメリハリをつけましょう。
男性より皮下脂肪が付きやすいため、肉付きの丸さや曲線を意識すると女性らしさがでます。
身体に影響してくる骨格である大転子(だいてんし)は、女性の場合、皮下脂肪に覆われているため男性より目立たなくなります。
男性の腰
男性は骨盤の位置が高いので、肋骨からの距離が近くなり、くびれができにくくなります。
くびれをつけすぎず、腰から脚のシルエットにかけて、ストンとおちるような一直線のラインを意識して描きましょう。
2:動きのある絵を描くために腰の可動域を知ろう
腰の可動範囲は図のようになっています。
屈曲(くっきょく)、伸展(しんてん)、側屈(そっくつ)、回旋(かいせん)です。
動かせる範囲はおおよそ決まっており、可動範囲や角度を無視して描くと折れた腰に見えるなど違和感が出てしまいます。
正しい可動範囲を把握して、自然な腰の動きを捉えましょう。
ポーズのある腰を描くには?自然なポーズを描こう
腰にポーズをつけるには、肋骨から腰までの身体の流れを意識することと、簡略化したアタリを立体に捉えることが重要です。
まずは、骨盤部分の楕円から長方形を描き起こします。
長方形を描き起こすことにより立体感のある腰をイメージしやすくなります。
骨盤のアタリの下に、太ももの形の輪切りを描き脚のつながりを考えましょう。
男女ともにお尻の肉付きの流れが、そのまま太ももに影響してきます。
腰付近の上部のお尻より、脚の付け根に近い下部のお尻のほうが、肉付きや丸みがつきやすくなります。
女性は肉付きや丸みのあるシルエットを、逆に男性は、凹凸のある丸みを意識しすぎない肉付きを描きましょう。
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腰の描き方を知って動きのある人体を描こう!
腰は上半身と下半身の連絡部分になる為、腰だけを描こうとしても難しいです。
身体全体の流れを意識し、アタリの簡略化やお伝えしたポイントを捉えることで、描くコツを掴むことができます。
得た知識を活かし、しっかり練習を重ねて腰をたくさん描いてみましょう。
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