より面白くなる漫画のプロット作り方基本|ネタがまとまる手順3つ
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
マンガを作る際、最初に「プロット」という話の大まかなあらすじを作りますが、「アイデアをまとめられない」「話がわかりづらい気がする」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
プロットを作る際は
- テーマ
- キャラクターと話の流れ
- エピソード
という順で整理すると、アイデアや全体の流れをまとめやすくなります。
この記事ではプロットをまとめる3ステップと、アイデアを整理するためのポイントをご紹介します。
最後にプロットを作るための項目をまとめたテンプレートをご用意していますのでぜひプロット作りに活用してください
漫画制作でのプロットの役割と構成
プロットとはマンガ全体の構成を決めること
マンガの話は様々なエピソードの積み重ねで出来ています。
プロットとは話の流れやエピソードを大まかに書き出してまとめることで、「マンガ全体の構成を決める」役割があります。
描きたい話のアイデアが思いついたとしても、いきなりマンガ原稿用紙に描き始めるのではなくプロットを作ってアイデアをまとめ、話の方向性やエピソードの組み立て方を整理します。
プロットを作る目的は「話の流れを整理して、より良い作品を作る」ことです。
プロットを作る段階で描きたいテーマやキャラクター、話のあらすじを固めておけば、マンガの軸をぶらさずに制作を進められます。
プロットなしでは話に矛盾が生じたり、自分が何を描きたかったのか見失ったりするおそれがあります。
プロットでは因果関係を書き出す
プロットでは出来事の因果関係を並べ、話のスタートからゴールまでを書き出します。
例:スマホが壊れた(原因)⇒修理に出した(結果)
因果関係は「出来事とリアクション」の関係でもあります。
例:つまずいて転んだ(出来事)⇒泣き出した(リアクション)
出来事とリアクションが続くことで、キャラクターや話が動き、ゴールまで進みます。
簡単3ステップでプロットを作る方法とは
プロットで話の流れを作るには、話の方向性を定める「テーマ」と話を動かす「キャラクター」が必要です。
テーマ・キャラクター・話の流れを整理すると「どんな作品なのか」「何を楽しむ作品なのか」という軸が出来ます。
テーマやキャラクター、話の流れが曖昧なままプロットを書くと話に矛盾が生じたり、描きたいものと関係のない話になったりしてしまい、マンガになったとしても読者に話が伝わりません。
そのためプロットを作る際は、最初に描きたいマンガのアイデアを整理することが肝心です。
- テーマ
- キャラクターと話のスタート・ゴール
- 話の流れ(エピソード)
この3ステップでマンガの方向性を決めましょう。
手順1:テーマを決める
テーマとは「その作品で何を一番描きたいか」のことです。
テーマは自由です。
「恋愛」「バトルマンガ」というジャンルから考えても構いません。
アイデアを出したら、より具体的に描きたいものを掘り下げましょう。
例えば恋愛マンガと言っても「青春の甘酸っぱい恋」「身分違いの恋の切なさ」のように描かれるものは様々あり、テーマを決めることで作品の方向性が明確になります。
キャラクターや話の流れのアイデアがある場合はそちらから決めても大丈夫です。
その場合でも一番描きたいものを定めておくと、作品の見所や魅力がはっきりします。
例:キャラクターが先に出来ている場合
探偵と犯人のふたりを描きたい
- 王道な推理もので、探偵が犯人を追いつめる様子を描きたい
⇒「事件を解決する探偵のかっこよさ」がテーマ
- 立場の違うふたりが協力して困難に立ち向かう様子を描きたい
⇒「探偵と犯人の絆」がテーマ
テーマは1つに絞るのが望ましいです。
元のテーマに加えて描くものを増やすと、ひとつひとつの要素が薄くなり、読者は何を楽しめば良いのかわからなくなります。
手順2:キャラクターと話のスタート・ゴールを決める
テーマが決まったら、描きたいテーマを最も魅力的に表現出来るキャラや話の流れを逆算して考えます。
例えば「かわいい女の子の日常」を描きたいならどんな女の子が主人公で、どんな日常を過ごしているのか、「バトルシーンで熱くなってほしい」なら誰と誰が何をきっかけに戦うのか等のアイデアを掘り下げます。
キャラクターや話のアイデアをまとめるポイントは以下の3つです。
- 5Wを使ってアイデアを整理する
- キャラクターの個性を絞る
- 話のスタートとゴールを決める
5Wを使ってアイデアを整理する
キャラクターや話のスタートとゴールのアイデアを出す際は「5W(いつ・どこで・誰が・何のために・何をする)」を使うと整理しやすいです。
5Wとは、英単語の頭文字で
- when(いつ)
- where(どこで)
- who(誰が)
- why(何のために)
- what(何をする)
を指し、舞台やキャラクターの情報を一言で表現するのに役立ちます。
例えば、上の画像で5Wを整理すると、下記のようにまとめられます。
例:2025年の夏、東京で、刑事が、事件を解決するために、捜査を行う話
特に「誰が、何のために、何をする」を決めるとキャラクターに目的が生まれ、その目的を達成することが話のゴールに繋がります。
5Wを整理する際に、主人公はひとりに絞りましょう。
視点が変わると誰についての話かわからず、読者の混乱を招きます。
キャラクターは個性と目的を掘り下げる
キャラクターは、テーマや描きたいものに合う性格や関係性を考えましょう。
キャラクターを作るポイントは一言で表せる個性を掘り下げることです。
個性とは、外見や設定の奇抜さではなくキャラクターの価値観のことであり、物事や出来事に対する向き合い方です。
「キャラクターがどう考え、行動するか」がキャラクターの個性です。
例えば頼みごとをされた時に快く引き受ける人もいれば渋々やる人、笑顔で断る人もいるでしょう。
出来事に対するリアクションこそ、キャラクターの個性を表します。
キャラクターを作る際に、目的も深堀りしましょう。
目的と目標は誤解されやすいのですが、別物です。
「大金を手に入れたい」というのは目標で、「そのお金を何に使うか」がそのキャラクターの目的です。
恋人の病気を治すために使いたい、世界一のお宝を購入したい、パーッと使って遊びたいのように、キャラクターによってお金の使い道は異なります。
どうしてそう考えるのか、お金を手に入れるためにどんな行動をするのか、といった部分がキャラクターの個性や価値観に繋がります。
キャラクターの個性と目的を整理すれば、プロットの基本となる「原因と結果」や「出来事とリアクション」がイメージしやすくなります。
キャラクターを作る際の注意点は、設定ばかり並べてしまうことです。
設定をつけることも大切ですが、キャラクターを動かすのは設定や肩書きではなく個性(価値観)であることを意識しましょう。
例:サッカー部の主人公を描きたい場合
×:主人公はサッカー部キャプテン。ポジションはセンターバック。得意科目は数学。妹と弟がいる。趣味はスポーツ観戦。
⇒設定のみになっており、どんな価値観なのかわからない
△:主人公はサッカー部キャプテン。明るく元気で仲間思い。
⇒主人公の性格が見えてきたが、価値観や行動が具体的にわからない
〇:主人公はサッカー部キャプテン。チームの士気を盛り上げることを大事にしており、誰よりも明るく大きな声を出している。
⇒キャラクターの価値観を表せている
話のスタート・ゴールを決める
話のスタートとゴールではキャラクターの行動や感情、状況等に変化をつけます。
例:
- 継母にいじめられている貧しい女の子が、王子に見初められプリンセスになる
- 怪獣に襲われ困っていた主人公が、怪獣を倒して平和を取り戻す
マンガの面白さは様々ありますが、「読者の気持ちを動かせること」がひとつの目安です。
スタートとゴールでの変化が大きいほど、読者は面白い話だと感じます。
最初からレベル100の勇者が魔王に勝ったとしても、予想通りと感じる人が多いでしょう。
最初はレベル1の勇者がピンチに陥りながらも成長し、強敵である魔王を打ち倒すことで見ている側はハラハラしたり応援したり、感動したりします。
スタートからゴールにかけて変化や成長があると、読者の感情も動きやすいです。
「このキャラクターはどんな風に変わっていくのだろう」「どうやってこの困難を乗り越えるのだろう」と読者が気になるような変化を意識しましょう。
話のスタート・ゴールを考える際には、テーマ・キャラクターと方向性を一致させることが必要です。
「スポーツ男子とマネージャーの恋愛が描きたい」⇒「試合で勝利して大団円」のような場合だと、テーマは恋愛なのに読者に伝わるのは努力や勝利です。
テーマと話の流れがずれると、話が矛盾したり、見所がぶれたりしてしまいます。
また、キャラクターの目的を「大事な人に会いたい」とした場合、「探すために旅に出た」⇒「旅を通して成長した」のような流れにすると目的が達成されず、話のテーマが伝わりません。
例えばスポーツ男子とマネージャーの恋愛が描きたいなら、ふたりの関係性の変化をスタートとゴールに据えます。
大事な人に会う話なら再会自体か、再会して相手に何をするか、何を伝えるかをゴールにすると筋が通ります。
テーマとキャラクターの個性や目的を照らし合わせて、話のスタートとゴールを決めましょう。
手順3:起承転結を使ってエピソードを組み立てる
エピソードで気持ちや状況を変化させよう
キャラと話のスタートとゴールが決まったら、間を繋ぐエピソードを入れます。
エピソードとは「キャラクターの気持ちや状況が変化する出来事」のことです。
エピソードごとにキャラクターの気持ちや考え方、行動、キャラクターを取り巻く状況を変化させて、ゴールに近づけましょう。
エピソードは、プロットの基本となる「原因」と「結果」をもとに考えましょう。
「出来事」⇒「リアクション」や「問題が起きる」⇒「解決する」という流れを作ると話が動きます。
怪獣を倒す話の例
- 街が怪獣に襲われる。
- 怪獣を倒すために生態を探りながら怪獣へ攻撃を試みる。
- 攻撃された怪獣が暴れ、被害が拡大。倒すまでのタイムリミットが設定される。
- 怪獣が暴れた様子から倒すためのヒントを得る。
- ヒントをもとにタイムリミットまでに怪獣を倒す。平和が訪れる。
起承転結でパート分けしよう
エピソードは話の構成の枠組みとなる「起承転結」にあてはめると、話の導入や盛り上がりを作りやすいです。
起:物語のはじまりやきっかけ。話の方向性を読者に示す。
承:キャラや世界観への理解を深めてもらいながら、話を盛り上げていく。
転:物語を大きく動かすポイント。クライマックス。主人公の気持ちや行動に変化を起こし、盛り上げる。
結:物語の結末。
起承転結で表現するものは作品によって異なりますが、
- 起承でプラスのエピソードを積み重ね状況が良くなる、気持ちが高まる⇒転で大きな壁にぶつかるが乗り越える
- 起承でマイナスのエピソードを積み重ね状況が悪くなる、気持ちが落ち込む⇒転で一気に形勢を逆転する
のように気持ちや状況の変化を起こすと良いでしょう。
ページを起承転結で4等分すると、入れたいところに情報が入らなかったりテンポが悪くなったりします。
読者の心を掴むために冒頭は短く簡潔にし、その後のエピソードにページを多く取って読者にキャラや世界観等の魅力を伝えましょう。
起…20%、承…45%、転…30%、結…5% 程度が目安です。
一般的な読み切りとして必要な32ページのマンガなら起…6ページ、承…14ページ、転…10ページ、結…2ページ 程度が目安です。
プロットの代表的な書き方を具体例で解説
テーマやキャラ、話の流れを整理したら、実際にプロットとして組み立てます。
プロットの書き方は様々あり、人によって手法が異なります。
代表的なプロットの書き方は3つあります。
- エピソードを箇条書きにする
- セリフとおおまかな前後の流れを文章にして書き出す
- 「メインシーンの絵+状況を表す文やセリフ」を大まかに書き出し、話の筋を繋げる
ひとつの方法に絞って書いても、複数の方法を組み合わせて書いても構いません。
いろんな作り方を試してみて、書きやすい方法を探しましょう。
テンプレートを使ってプロットを作ろう
テンプレートを使ってアイデアを整理し、プロットを組み立ててみましょう。
- テーマ(一番描きたいもの)
- キャラ
- ・メインキャラ1(主人公)
- 性格…
- 目的や課題…
- そのために何をするか…
- ・メインキャラ2
- 性格…
- 目的や課題…
- そのために何をするか…
- ・メインキャラ1(主人公)
- 話
- ・スタート…
- ・ゴール…
- ・エピソード
- 起…
- 承…
- 転…
- 結…
プロットの作り方で不安になったら?
プロットを書く時には、テーマやキャラ、エピソードといった項目をあらかじめ決めておくとアイデアの整理に役立ちます。
ですが、一人でプロットを書くと「面白いのか?」「わかりやすいか?」と不安になることはありますよね。そんなときはスクールでの受講も検討してみましょう。
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