唇の描き方解説|構造や塗り方、男女の唇描き分けまで解説

この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
目次
- 唇の形が複雑で難しい
- 自分のイラストに合った唇の描き方が分からない
イラストを描いているとき、このように感じた経験はありませんか?
唇が描かれているイラストは、魅力的で目を引きます。
この記事ではそんな唇の形の取り方から線画の描き方や色の塗り方、さらには男女の唇の描き分けや角度のついた唇の描き方まで紹介します。ぜひ作品に役立ててみましょう。


唇の基本的な構造を知ろう
上下の唇の重なり方を知ろう

上唇が下唇よりも前に出ていると自然な印象です。
そのため唇を横から見ると、上唇が下唇に少し被さってみえます。
唇の凹凸について知ろう

上唇には真ん中1箇所、左右2箇所ふくらみがあります。
下唇には左右に2箇所ふくらみがあります。
口角部分は奥まっているので影ができます。
まずは基本の唇の形を描いてみよう
先ほど学んだ構造を活かして、基本の唇の形を描いていきます。
基本の唇のアタリを描こう

線画を描く前にまずはアタリを描くことで、バランスよく線画が描けます。
唇の凹凸を意識しながらアタリを描きましょう。
うまく形が取れないときは、膨らんでいる部分に丸を描いてからアタリを描く方法がおすすめです。
基本の唇の線画を描こう

先ほど描いた唇のアタリをもとに線画を描きましょう。
口角や唇の中央など、影になる部分の線を太く描くことで、唇の厚みや立体感が表現できます。
イラストに合わせて唇を塗ろう
肌や髪の毛の塗り方に合わせた唇の描き方を知ることで、唇がイラストになじみ自然な仕上がりになります。
アニメ塗り、ブラシ塗り、厚塗りの3つの唇の描き方を紹介します。
それぞれの塗り方の特徴も紹介しておりますので、ぜひ自分の理想の塗り方を探してみてください。
アニメ塗りでの唇の描き方を解説

アニメ塗りはシンプルな塗り方で、境界線がはっきりと区切られているのが特徴です。
アニメのイラストのようにパキッとした色塗りをしたい方におすすめです。
手順1:アニメ塗りの線画を描こう

唇の凹凸を簡略化して描きましょう。
影になる部分(口角)の線を太くしたり、光の当たっている部分(真ん中)はわざと線を離したり、細く描いたりすることで立体感が出ます。
手順2:唇の色を塗ろう

唇の色は、肌の色と同系統の色を選びましょう。
- 赤みのある肌・・・ピンク色や赤色で塗ると馴染みます
- 黄味のある肌・・・オレンジ色で塗ると馴染みます
同じ系統の色でも、あまり濃い色にすると、唇だけ浮いてしまうので気を付けましょう。
次に選んだ色を下唇に細く塗ります。
基本の唇で描いたものより幅が狭いですが、アニメ塗りではしっかり唇の厚さを描くと浮いてしまう原因になるので、線画と同じように色塗りも簡略化しましょう。
簡略化するときは、画像のように上唇が被さって影になる場所に色を塗る塗るのがコツです。
手順3:ハイライトを入れよう

くっきりしたハイライトを唇の中央付近に描きましょう。
ハイライトの大きさを揃えずランダムに入れることで自然なツヤに見えます。
手順4:色トレスをしよう

色トレスとは、線画の色を変えて線画と塗りを馴染ませるテクニックです。
線画にクリッピングマスクを掛けて、線画の色を変更してみましょう。
クリッピングマスクの詳しい使い方についてはこちらの記事をご覧ください。

色トレスは、唇の色を濃くした色で塗ると馴染みます。
線画の色が唇の色に近付きすぎると、アニメ塗りのはっきりしたイラストがぼやけてしまうので気を付けましょう。
色トレスのコツは、こちらの記事でもご紹介しておりますのでぜひご覧ください。

手順5:アニメ塗りの唇の完成!

くっきりした、イラストになじんで目立ちすぎないアニメ塗りの唇の完成です!
ブラシ塗りでの唇の描き方を解説

ブラシ塗りはアニメ塗りをベースにぼかしツールなどを使用して、より立体感を出せるのが特徴です。
アニメ塗りより少しリアルなイラストを描きたい方におすすめです。
手順1:ブラシ塗りの線画を描こう

アニメ塗りよりも凹凸をつけて少しリアルに描きます。
アニメ塗り同様、影になる部分(口角)の線を太くしたり、光の当たっている部分(真ん中)はわざと線を離したり、細く描いたりすることで立体感が出ます。
手順2:ベースの色を塗ろう

アニメ塗りのときと同様に、唇の色は肌の色と同系統の色を選びましょう。
- 赤みのある肌・・・ピンク色や赤色で塗ると馴染みます
- 黄味のある肌・・・オレンジ色で塗ると馴染みます
同じ系統の色でも、あまり濃い色にすると、唇だけ浮いてしまうので気を付けましょう。
上下に唇を塗りますが、基本の唇で描いたものより細く塗ることがポイントです。
画像のように、唇の奥まって影ができる部分に色を塗りましょう。
手順3: ベースをぼかそう

先ほど描いたベースをぼかしツールや、エアブラシを使ってなじませます。
中央をしっかりぼかして、口角部分はぼかしすぎないようにするときれいな唇の形が保てます。
手順4: 影を入れよう

上唇と下唇の間、口角に影を入れ立体感を出します。
唇の色を濃くした色を選択し、ブラシサイズを小さくしたエアブラシでふんわりと入れましょう。
手順5:ハイライトを入れよう

Gペンなどで、くっきりしたハイライトを入れます。
左右対称に描かずランダムに入れることで自然なツヤになります。
手順6:色トレスをしよう

色トレスとは、線画の色を変えて線画と塗りを馴染ませるテクニックです。
先ほど紹介したクリッピングマスクを使用して、線画の色を変更してみましょう。
唇の色を濃くした色で塗ると馴染みます。
線画の色が唇の色に近付きすぎるとメリハリがなくなってしまうので、線画が見えなくならない程度に線画の色を唇の色に近付けます。
手順7:ブラシ塗りの唇の完成!

立体感とツヤのあるブラシ塗りの唇の完成です。
厚塗りでの唇の描き方を解説

厚塗りは、ブラシ塗りよりもさらに立体感や重厚感が表現できるのが特徴です。
リアルなイラストを描きたい方におすすめです。
手順1:厚塗りの唇の線画を描こう

リアルに描くため、ふくらみに沿ってしっかり凹凸を付けて線を描きます。
口角部分や影になる部分を太く描くことで立体感が表現できます。
ふっくらとした唇にするために、唇の上と下の境界線にも線を描きましょう。
手順2:ベースの色を塗ろう

まず初めにベースの色を塗ります。
ベースは、肌の色と同系統の色を選びましょう。
- 赤みのある肌・・・ピンク色や赤色で塗ると馴染みます
- 黄味のある肌・・・オレンジ色で塗ると馴染みます
基本の唇で描いたアタリの輪郭に沿って塗りましょう。
輪郭部分を少しぼかすと、よりリアルに見えます。
手順3:ベースにグラデーションを付けよう

ベースにグラデーションをつけて凹凸を表現します。
エアブラシなどの柔らかいブラシで、唇の内側にベースより濃い色を塗ってグラデ
ーションをつくりましょう。
綺麗なグラデーションを作るためには、濃い色を全体に塗るのではなく、唇の端は残して中央だけに塗るのがポイントです。
ベースから色がはみ出さないようにクリッピングマスクを使用すると塗りやすくなります。
手順4: 影を入れよう

上唇と下唇の間、口角、輪郭に影を入れましょう。
唇にはふくらみがあるので、上下に影を入れてあげることでより唇が立体的に見えます。
手順5:ハイライトを入れよう
1.柔らかいハイライトを入れる

唇の基本の構造で説明したふくらみに合わせて、エアブラシでふんわりとハイライトを入れます。
ふくらんでいるところは、上唇の真ん中に1箇所、上唇の左右に2箇所、下唇の左右に2箇所あります。
2.くっきりしたハイライトを入れる

ツヤを出すために唇の出っ張っている部分に、くっきりとしたハイライトを入れます。
先ほどはエアブラシでふんわりとハイライトを入れましたが、ここではフチのはっきりしたブラシを使用すると、よりツヤを表現できます。
ハイライトは唇のシワの方向に合わせて、縦向きに入れていきましょう。
3.輪郭部分の上下にハイライトを入れる

唇の輪郭の上下にもハイライトを入れましょう。
Gペンなどの硬いブラシで、細く、はっきりと描くのがポイントです。
唇と肌の境界線がはっきりして、唇のぷっくりとした立体感が表現できます。
手順6:色トレスをしよう

線画にクリッピングマスクを掛けて、線画の色を変更してみましょう。
唇の色を濃くした色で塗り、線画を少し目立たなくするとなじみます。
唇の上下にある肌との境界線部分はさらに薄くしてなじませましょう。
手順7:厚塗りの唇の完成!

プルプルつやつやで立体感と重厚感のある厚塗りの唇の完成です。
唇の描き方応用!さまさまな唇を描き分けよう
男女の唇の特徴と描き方のコツ

女性と男性の唇の違いを知ることで、さらに描きたいキャラクターに合った唇が描けるようになります。
女性の唇について知ろう
横幅は短く、ふっくらとした形が特徴です。
口角を上げることで可愛らしさを演出できます。
色を塗るときは男性よりも多くハイライトを入れて光沢感を出し、ぷるんとした質感を表現するのがポイントです。
男性の唇について知ろう
横幅が広く薄い形で、上唇を控えめに描くことで男性らしさを強調できます。
線画は直線的に描き、色を塗るときは女性よりも少し薄い色を使用するのがポイントです。
角度がついたときの唇の描き方

まずは十字線を引きアタリを描きます。
このときに唇の膨らんでいる部分に丸を描くことで、どんな角度でも凹凸をしっかり描くことができます。
十字の線に沿って口角を描くと、左右のズレが無くなります。今回の角度では、左の口角は唇に重なって見えません。
色を塗るときもアタリで描いた丸を参考に光を入れましょう。
アニメ塗りの場合は下唇の少ない範囲にのみ色を塗ります。
ブラシ塗りの場合は上下の唇に控えめに色を塗ります。
厚塗りの場合はしっかり唇の範囲を塗り凹凸をつけます。

角度によって見えない部分や大きさが異なるので、アタリをしっかり取り実物も観察しながら描きましょう。
角度がついた口の描き方はこちらの記事でも紹介しておりますのでせひご参考ください。

唇を描くときのよくある違和感と解決方法
肌の色と唇の色がなじまない

肌の色と唇の色に差があると、なじまない原因になります。
唇の色は肌の色に合わせて、同じ系統の色で塗るのがポイントです。
赤みのある肌の場合はピンク色や赤色、黄味のある肌の場合はオレンジ色を使用するとなじみます。
肌の色に合わせて、唇の色を決めてあげましょう。
イラストの中で唇だけ浮いてしまう

唇だけをリアルに塗りすぎると、イラストの中で唇だけが浮いてしまう原因になります。
左のイラストはアニメ塗りの顔に厚塗りの唇を描いたもので、唇がイラストの中で浮いてしまっています。
右のイラストは厚塗りの顔に厚塗りの唇を描いたもので、全体のバランスが取れています。
このようにイラストの中で唇だけが浮いてしまわないよう、肌や髪の毛の塗り方に合わせて、唇の描きこむ量を調節することが大切です。
唇の描き方を知って、キャラクターイラストに活かそう
唇を描くためには、まず唇の構造を理解し、凹凸に合わせた影の入れ方やハイライトの入れ方、自分のイラストに合った描き方を知ることが重要です。
この記事をご参考いただき、自分のイラストに合った唇の描き方をマスターしてキャラクターイラストに活かしてみてはいかがでしょうか?
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