角度のついた顔の描き方のコツ!アオリもフカンも自由自在に
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
顔の角度を斜めや下向き、上向きで描こうとした途端、どうやって描けばいいのか悩んだことはありませんか?
得意でよく描く角度の顔はあるけど、それ以外の角度が描けない方もいると思います。
角度のついた顔が上手に描けないのは、顔の立体感をしっかり把握できておらず、顔のアタリが正確に描けていないからです。
顔を色々な角度で描く場合、頭全体の形に加えて目や鼻、口などパーツごとの立体感を覚えることも重要になってきますが、それらを一つずつデッサンをしたりして覚えていく必要はありません。
コツさえ掴めば色々な角度で描けるようになります。
顔の立体感がわかると角度がついた顔が描けるように
顔はたくさんの立体パーツの集合体
顔のアタリは丸と十字を描いたものがよく見られますよね。丸は頭の大きさ、十字の縦線は顔の縦の中心で、横線は目の高さを示していることがほとんどですが、このような単純な図形から顔の立体感を表現するのは難しいことです。
顔は目、鼻、頬、口などといった立体的なパーツの組み合わせでできています。
顔全体の立体をなんとなくで描いていると歪みます。それは頭の立体感や顔のパーツの立体感がうまく掴めていないからです。
まずは大きな塊である「頭」の立体感から掴んでいきましょう。
頭の形と比率を覚えて顔全体の立体感をつかもう
頭はまん丸なわけではなく、正面から見たときにタマゴ型に近い形をしています。
まずは頭の立体がどうなっているか見てみましょう。
顔の立体は正面(黄色部分)と側面(青色部分)で面が分かれていることを覚えておくと、顔の角度を変えたときの立体の把握がしやすくなります。
この形を色んな角度から見て立体感を掴んでみましょう。
角度がついた顔のアタリの描き方
アタリとは、絵を描くときに大きさや形や向きを決めるための下準備のようなものです。
頭の大きさを丸、顔の中心と両目の位置を示した十字線を組み合わせて描くことが多いですが、アオリやフカンで斜め向きの顔を描くときは、目のアタリ線が重要になってきます。
いくら顔の角度や他のパーツの形が正確に描けていても、左右の目の位置がアタリ線に正確に沿っていないと斜め顔の形が歪んで見えることがあります。
丸と十字線を用いたアタリを角度を変えていくつか練習してみましょう。
また、このシンプルなアタリに頭の形と比率を覚えて顔全体の立体感をつかもうでご紹介した顔の側面のアタリ線をつけると、顔の立体感がより掴みやすくなります。
顔のパーツの立体感を覚えて色んな角度の顔に応用しよう
頭や顔全体の立体感は掴めましたか?ではそこに立体的な顔のパーツを配置していきましょう。
目や鼻や口はそれぞれ形が違いますので、一つずつ解説していきます。
目の形
目は眼球とまぶたで出来ているので、球体のように捉えましょう。
まぶたは眼球に沿っているので、角度が変わった時にまぶたのカーブの形も変わります。
また、斜め向きの顔のときは顔の立体に奥行きが加わるので、左右の目の形も変わります。
目の描き方はこちらの記事で詳しく解説しています。
鼻の形
鼻は4つの面でできた三角形のような形の立体です。鼻筋、左右の小鼻、鼻の底と面があり、見る角度によってそれぞれの面の見える広さが変わります。
上から見る時は鼻筋が広く、下から見る時は鼻の底が広く見えることを覚えましょう。
口の形
口は顔の丸みに沿ってハンモックのような形をしています。唇の先と口角の位置に奥行きがあるので、アオリやフカンのときに位置関係が変わります。
口の先を赤い点、口角を青い点で印を付けているので、それぞれの角度のときの位置関係を観察しましょう。
口を開いたときに見える歯の描き方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
パーツを顔のアタリに配置しよう
パーツの立体感を覚えたら、顔のアタリに正しく置いていきましょう。
目の配置については目の描き方の記事で詳しく解説しています。
耳の位置
耳の位置は正面から顔を見たときにほぼ目の横の位置についていますが、アオリとフカンの時には位置関係が変わります。
目と耳の位置は離れておりそれぞれ顔の正面と側面に付いているので、顔の角度が変わったときの位置関係が大きく変わりやすいです。
メガネのような形で覚えるとよいでしょう。
耳の形と角度
まずは正面から見てぐるっと180度回転したときの形を見てみましょう。
耳は見る角度によって、幅や耳の中の見え方が変わります。
次に、アオリとフカンのときの耳の形を見てみましょう。
アオリでは耳たぶを太めに描き全体をつぶれたような形に、フカンでは耳輪を太めに描き耳たぶに向かって細くなるような形に描くとよいです。
これらの見本の耳は少し簡単な形に直しているので、より正確に耳を描きたい場合は実物をよく観察しましょう。
髪の毛の流れ
髪の毛を描くときはつむじや生え際の位置を設定し、そこから放射状に生えるように髪の毛を描くと自然になります。
髪の流れは頭の丸みにそって回り込むようなカーブを描いてあげましょう。
斜めのときの顔の形
顔のパーツの立体感はなんとなく掴めましたか?では実際に立体感を意識しながら斜め向きの顔を描いてみましょう。
目と鼻と口の間隔、比率を意識しよう
顔のバランスを良く描くための黄金三角比
左右の目の中心、鼻の中心を3点として線で結んだ時の三角形が正三角形になっていると顔のバランスが良くなりやすいとされ、これを「黄金三角比」と呼びます。
この三角形は斜め顔のときにも応用できます。
顔の角度が斜めのときは奥側の顔半分がせまく見えるため、三角形の半分を顔の形に合わせて変形させます。
図のようにして頭を四角形で囲ってから顔の中心線を取り、そこから顔の奥側の目の位置のアタリをとって三角形を描いていきましょう。
斜め顔を描いていて「元のキャラクターに顔が似ない」や「なんかバランスが悪い」と感じたら、この三角形が崩れているのかもしれません。
Aは三角比を保ったまま目や口の形を少し変えています。
この場合、絵柄は変わりますがキャラクターの顔の印象はある程度保たれます。
Bは顔のパーツの形をそのままに、三角比が崩れているパターンです。
似せているようですが、見た目の年齢の印象が変わったり顔のバランスが崩れて見えます。
もちろんコミックイラストではあえて三角比のバランスを崩しているパターンもありますが、口の位置以外は比率がしっかり保たれている場合がほとんどです。
横顔に近い斜め顔を描くときのコツ
向こう側の頬や目が少しだけ見える角度がありますよね。これは目と口の三角形を応用しづらいパターンになります。
手前側の顔半分はほとんど横顔に近い形ですが、パーツの位置を少しずらして描いてみるだけで顔に立体感が生まれます。
向こう側に見える眼球やまつ毛、眉毛ある部分の骨のふくらみ、頬のラインも描き加えてみましょう。
男女別の斜め顔を描くときのコツ
顔の立体感にも男性らしい形、女性らしい形というものがあります。
男性は基本的に直線的で角ばったような線で描き、女性は曲線的でなめらかな線で描くと良いでしょう。
アオリの場合の顔の形
顔を下から見たときの「アオリ」向きの描き方のコツを解説していきます。
顔を上や下からの角度で見た場合、横顔や斜めのときよりも顔の立体感の表現が重要になってきます。
アオリの角度では下から見るので顔の立体の下向きの面が広く見え、上向きの面が狭くなったり見えなくなります。
また、頭は正面から見たときよりも小さめに描いてあげると良いでしょう。
下から見たときの顔の比率を意識しよう
アオリの角度といっても色々な角度がありますよね。少し傾いたものから、ほぼ真下から見たようなもの……
アオリを描くときは、図のように目の高さの位置で顔の角度を決めることができます。
アオリを描いていて角度がイマイチ決まらないと思ったら、このように顔のアタリの目の高さを調節してみましょう。
男女別のアオリ顔を描くときのコツ
斜め顔のときと同じく、男性は直線的で角ばったような線で描き、女性は曲線的でなめらかな線で描くと良いでしょう。
フカンの場合の顔の形
顔を上から見たときの「フカン」向きの描き方のコツを解説していきます。
フカンの角度では上から見るので顔の立体の上向きの面が広く見え、下向きの面が狭くなったり見えなくなります。
また、頭は正面から見たときよりも大きめに描いてあげると良いでしょう。
上から見たときの顔の比率を意識しよう
フカンにも様々な角度があります。
少し傾いたものから、ほぼ真上から見たようなもの……
フカンを描くときも、アオリのときと同じく図のように目の高さの位置で顔の角度を決めることができます。
フカンも描いていて角度がイマイチ決まらないと思ったら、このように顔のアタリの目の高さを調節してみましょう。
男女別のフカン顔を描くときのコツ
斜め顔のときと同じく、男性は直線的で角ばったような線で描き、女性は曲線的でなめらかな線で描くと良いでしょう。
おわりに
顔は様々なパーツがついているため、角度を変えたときの描き方を覚えるのが他の体の部位よりも大変かもしれません。
ですがそれぞれの立体感・比率を覚えてしまえば、これまで難しく感じていた角度の顔を描くことがより楽に、楽しく感じるようになります。
ただ、口の表情や目の形を変えた時はどうなるの?形は良くなったけど、いまいち顔がかっこよく・かわいくならない……そんなこともありますよね。
顔はキャラクターの命です。レッスンを受けて良い形の顔を描けるようになりましょう!
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