俯瞰(フカン)の体の描き方を解説!上から見た体を歪みなく描くコツ
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
人物を上から見たときの体の描き方、難しいですよね。
俯瞰(フカン)の体は正面から見たときとは違い、体の立体感や遠近感を表現することが重要です。
俯瞰で見た身体の描き方の基本ルールから、ポーズをつけた時の描き方のコツなどといった応用まで、俯瞰角度を描くのが苦手な人向けに弱点をカバーする方法をご紹介します。
人体作画の俯瞰構図ルールを理解しよう
基本ルール1:俯瞰構図は手前を大きく、奥を小さく
俯瞰は対象物を上から見下ろす構図なので、視点近くの上にあるものが大きく見え、下にいくほど小さく見えます。
また体のパーツそれぞれが圧縮されて見え、体を輪切りのようにしたときのパーツの重なり部分も増えます。
基本ルール2:俯瞰構図の体の見え方は「画角」で決まる
俯瞰の描き方には種類があり、画角の違いで変わります。
同じポーズの俯瞰構図の素体を、それぞれの画角で比べて見ましょう。
どれも体を上から見た構図ですが、広角だと手前が大きく奥が小さく見え、望遠だと体のパーツの大小差があまりつきません。
広角のような画角を「パースが強く付く」とも言います。
基本ルール3:パースを理解すれば俯瞰構図で骨格がゆがまない
パースとは、立体を正しく描くためのガイド線です。
人の体は正面から見ると左右対称になっており、通常の場合はポーズを変えたりしない限り左右のパーツの位置は同じ高さです。
しかし俯瞰や煽り(アオリ)など角度が変わると、左右対称のパーツの高さはルールを持って変わります。
上から見た角度だと、青い線のガイドにパーツをそろえて描いた方が自然ですね。
基本的に俯瞰の場合は「手前側のパーツの位置が下がる」と覚えましょう。パースについて詳しくは以下の記事で解説しています。
パースを使った体のアタリの取り方
俯瞰角度の体を描くためのパースの形は、大きく分けて2パターンあります。
消失点ありのパースでアタリを取る場合
これは画角が標準〜広角の場合のパースで、手前側のものが大きくなり、遠くのものが小さく見えます。
このときのパースは消失点がキャラクターに近く、パースが手前にむかって扇形のように広がり、角度が強くつきます。
これは画角が望遠に近いときのパースです。
パースの消失点はキャラクターからかなり遠い位置にあります。
線同士がほぼ平行になるので、初心者でも扱いやすく揃えるのが簡単ですが、立体感を出すのが難しく、ポーズをつけた時に迫力に欠ける仕上がりになってしまいます。
基本ルール4:俯瞰構図で体を描くなら立体感が大事
俯瞰は体の形が正確に描けるかが出やすい
俯瞰構図では体のパーツごとの立体化が必要なため、体のシルエットだけではなく立体感やパースの理解レベルが明確に出てしまいます。
正面や斜め向きの体のバランスから歪んでしまう人は、まず正確な体の形を描けるように練習しましょう。
俯瞰構図のときのアタリの描き方のススメ
俯瞰や煽り(アオリ)など角度の付いた体の描き方に慣れないうちは、画像のような立体素体を描いてから肉付けしていく方法で慣れていきましょう。
大まかな立体感を掴めてきたら、デッサンやクロッキーでより正確な肉付けを覚えることをオススメします。
俯瞰で体を描く際の自分の弱点を克服しよう
自分の絵が「なんとなく」歪んで見える、という認識のままではNGです!
自分の出来ていない部分を明確にし、それに合わせた基礎練習により俯瞰角度のコツを掴んでいきましょう。
体のパース感を上手くつけられない場合
下記のような方にオススメの練習方法です。
- 頭が大きすぎる形になってしまう
- 頭身バランスが崩れてしまう
パースが付いたガイドにあわせて描いてみよう
正面向きの素体を描いたときに頭の先から足までの四角い枠に納めます。
縦を4等分したときの分割線それぞれに位置する体の部位を把握し、枠線と等分線にパースをつけます。
それぞれの分割線にあたるパーツの部位がくるように体を描いていきます。
上の図では、枠の横幅は頭の幅3つ分にして分割線を入れていますが、人物の等身に合わせて幅を変えてもOKです。
また縦にも分割することで、体の横幅も俯瞰にしたときに歪みにくいです。
パースを付けたときの2等分、3等分を正しい描き方は「2分割法」や「3分割法」という方法でできます。詳しくは以下の記事をご参考ください。
俯瞰構図で描いても立体感が出せない場合
こんな人にオススメの練習方法です
- 俯瞰構図の体を描いてものっぺりとした立体感の無い形になってしまう
- 体の立体が不自然な形になってしまう
単純な形に置き換えて描いてみよう
体を立体的に表現するには、体のパーツそれぞれを簡単な立体図形に置き換えることをオススメします。
簡単な形に置き換えれば、面や厚みの意識、形の回り込みといった空間把握がしやすいでしょう。
パーツごとの立体を描くことに慣れてきたら、それらを組み合わせた立体素体にして全身を描いてみましょう。
直線のある立体だとパース線に合わせやすく、パースに合わせた俯瞰の全身を描く練習がしやすいです。
実際の筋肉や骨格の形を覚える練習をしよう
立体図形化して体のおおまかな立体感を覚えられたら、骨格や筋肉といった体の形を学ぶステップに進みましょう。
その際の練習方法としてオススメなのはデッサンです。
よく観察して描くデッサン練習なら、骨格や筋肉の形をしっかり見ながら描くため間違えづらく覚えやすいです。
俯瞰の描き方のコツを掴み、体のバランスを崩さず描くには
俯瞰、ならびに煽り(アオリ)といった「角度を変えた体の描き方」は人物作画の応用編で、体のバランスの基礎的な部分を疎かにしては表現が難しいところです。
また立体感の把握がかなり重要になので、苦手と感じる人は簡単な図形の立体感を掴むところから、徐々に慣らしていきましょう。
基礎をしっかりと練習すれば難しい角度の体でもバランスよく描けます。絵の道は「遠回りこそ近道」です。
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