漫画は効果で盛り上げよう!効果線・背景効果で完成度に差をつける
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漫画で人物のペン入れを終えて、背景も入れて……頑張ったはずなのに画面が物足りないと感じたことありませんか?
そんな時は、コマにあわせた漫画の「効果線」や「背景効果」を活用しましょう。
漫画の効果は、キャラクターの心情をより強調したり、画面に勢いをつけたりできます。
漫画の効果で画面の物足りなさを解消し、あなたの漫画をより盛り上げる手段を見つけましょう。
漫画の効果は「効果線」と「素材」を使いこなそう
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それぞれの効果を使い分けて画面にメリハリをつけましょう。
漫画の効果線はこれを抑えるべき!5つの効果線コツ
集中線で攻撃の威力を上げよう

人物も背景も入れ終わった漫画の1ページですが、今のままでは勢いが足りなく感じます。
動きを感じる効果線を適材適所に追加し、盛り上がる漫画を完成させていきましょう。

まずは一番の見せ場である5コマ目を盛り上げる集中線を入れます。
今回はクリップスタジオを使って、手描きで集中線を描く際のテクニックをお教えします。

最初に、効果線を描きこむレイヤーを新規作成します。
人物のレイヤーに直接描き込むと、修正が難しくなるので避けましょう。
定規ツールの「特殊定規」から「放射線」を選び、効果線レイヤーの上に消失点を作ります。
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背景などの作画に使う「パース定規」があれば、その消失点をそのまま集中線に使えます。
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集中線を上手に描くコツ
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この集中線にはどこか迫力がありません。
集中線を描くコツは「山」を作ることです。
集中線は「大きな山」と「小さな山」の混合でできています。
例えば「大きな山」を4~6本の線で作り、「小さな山」を2~3本の線で作り混合させると、迫力ある集中線を作れます。
集中線の「山」がない状態だと、上の画像のように単調な印象になってしまいます。
また「大きい山の隣は小さい山」と決めつけず、「大きい山の隣にも大きい山」など、ランダムに山を織り交ぜると自然なメリハリになります。

線を増やし密度を濃くすると、より重厚感のあるシーンにできます。
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密度を濃くする際は、ごちゃごちゃしてメインの絵が埋もれないようにします。
今回のように迫力を出したい重要なコマであれば問題ないですが、そうではないコマに使うと原稿がうるさくなるので注意しましょう。


集中線で「山」を作る基礎を応用したものが「ベタフラッシュ」です。
先ほど「大きな山」は4~6本、「小さな山」は2~3本の線で作りますが、ベタフラッシュはその倍程の線量で作ります。
集中線と同じく山の混合で作り上げ、引きで見たときバランスが整っているか確認しましょう。
良いベタフラッシュは、白の部分にも綺麗な山が作られます。
流線でスピード感を味わおう

「流線」とは、集中線のようにコマ内に向かうのではなく、コマ外に流れていく線のことです。
走っているシーンなど、勢いを作る演出に適しています。
集中線と同じく4~6本の大きなまとまり、2~3本の小さなまとまりを作るとメリハリがついて迫力が増します。

流線は、枠外まで線を伸ばすか、枠内で線が消えるかで大きく印象が変わります。
線が枠外まで突き抜けていると、次のコマに継続する勢いを感じます。
線が枠内に収まっていると、少し冷静な印象になり表情が際立ちます。
突き抜ける線と消える線を混ぜると、両方の長所と短所を生かせます。
描きたいシーンにあわせて選びましょう。
トーンの効果線で変化を付けよう

全てのコマを線で描くと画面がうるさくなってしまいます。
緩急をつけるために「トーンの効果線」も使いましょう。
トーンで効果線を作る工程は集中線や流線と一緒ですが、「描きこむ」のではなく「削る」作業です。
線やベタに比べて画面がすっきりして、読者の視線を人物に向けられます。
ページ毎に変化を付けたい時に取り入れてみましょう。→デジタルでのトーンの貼り方はこちら

効果線をあえて入れないコマも作ろう
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ほとんどのコマに効果線が入りました。
残る4コマ目にも効果線を入れたくなりますが、全てのコマに無理に入れなくて大丈夫です。
空白のコマを作ることで、周りの効果線のスピード感がより際立ちます。
漫画は緩急が大事なので、あえて一呼吸入れることも意識しましょう。
【上級者編】衝撃波・ブレ線をつかいこなそう

漫画の効果を描き込んで、勢いあるシーンが完成しました。
もっと勢いを出すために、効果線とあわせて「衝撃波」「ブレ線」などを加えてみましょう。

効果線に合わせて描き込みを加えることで、絵に存在感が増します。
1コマ目の人物には、拳と足元に動きを表す線や影を入れて、5コマ目は集中線に放射状の短い「衝撃波」を入れ、一番勢いのある拳に「ブレ線」を足しました。
衝撃波は波紋を意識して手前を短く奥を長く、
ブレ線は関節からの移動距離の長い手前を長く、奥を短く
上記のように描くことで上手く描けます。
さらにパンチの衝撃を伝えるため、5コマ目の打撃部分に飛沫を飛ばし、迫力を出しましょう。
4コマ目のグローブには、質感を意識した描き込みを加えることで勢いを止める効果が出ます。
勢いと静止を織り交ぜ、より迫力のあるシーンを作りましょう。
漫画の効果を素材で表現!トーン・ブラシ活用のコツ3つ
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今度はこちらの漫画に効果を入れてみましょう。
物理的な勢いはなく、感情が少しずつ動く様子を表すためにトーンやブラシだけで仕上げます。
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シーンに合うトーン素材を探そう
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トーン一つでコマの印象が大きく変わります。
自分の表現したいシーンに合うトーンが初期素材になければ、積極的に素材を探しにいきましょう。
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CLIP STUDIOのホーム画面の左側に「素材をさがす」があるので、「トーン」で検索してみましょう。
「効果」「雰囲気」など、検索条件を増やすとよりイメージに近いものが見つかります。
ブラシで背景効果を作ってみよう
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トーンで気に入るものがなければ、ブラシを駆使してオリジナル効果も作れます。
自分の絵に適した得意パターンができればトーンを探す手間も省けるので、いくつか覚えておきましょう。
画面がグレーになりすぎないように
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トーンとブラシを組み合わせるだけでもページが埋まりました。
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素材やトーンを使う時は、「画面がグレーになりすぎないこと」に注意しましょう。
漫画は黒・白・グレーがあることでメリハリが生まれます。
画面を引いて見たときに、その三色がバランスよく配置されているか確認しましょう。
60%以上の濃度になっている箇所はベタにしてみたり、コマのどこかに白い空間を作りましょう。

また、人物と背景のトーンをいつも同じ線数で作ると、画面が単調に見えてしまいます。
この絵は手前の人物には30線、奥の人物には60線のトーンを使っています。
常に1パターンの線数になっていないかを疑いながら効果を入れましょう。
差をつける一段上の完成度を目指そう!
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効果は無限にありますが、得意パターンが出来たら応用が効きます。
ストックを増やし、自分の漫画に取り入れましょう。
漫画効果の練習は個人でもできますが、経験のない方は私たちのスクールも検討してみてください。
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ぜひ一度体験入学にいらして下さいね。