黒髪の塗り方・作画コツ|ツヤ・透明感のある地毛の描き方とは

この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
目次
ツヤや透明感がある黒髪は、清潔感や真面目さ、純粋な印象を与えられる髪色です。
そんな黒髪ですが、実際に塗ってみると他の髪色を塗るより難しいため、塗った際に「立体感のない重たい髪の毛」になってしまった経験はないでしょうか?
黒髪をきれいに描くには、黒髪ならではの注意点やコツを知り、しっかり理解することが大切です。
この記事では黒髪を塗る時の注意点だけでなく、黒髪の描き方を塗り方別に紹介します。
線画の描き方から、モノクロ・アニメ塗り・ブラシ塗り・厚塗りで黒髪を描く方法を解説しますので、黒髪を描くことが苦手な方はぜひご参考ください。
黒髪が上手く描けない3つの原因・対策
まずは黒髪が上手く描けない原因を知って、軽くてきれいな黒髪を描くためのコツを学びましょう。
原因1:黒く塗りつぶした部分が多すぎる

モノクロイラストでは、黒い部分が多いと髪の毛がのっぺりと重たく見える原因になります。
ハイライトだけを残すと黒い部分が多くなりすぎるので、影になる部分だけを黒で塗ると、軽くて立体感がある黒髪に仕上がります。
原因2:黒色を使用して黒髪を描いている

カラーイラストでは、ベースの色が黒いと髪の毛が重たくなる原因になります。
ベースはグレーで塗ることで、透明感のある黒髪に仕上がります。

黒髪は黒以外でも表現することができます。
ベースは黒ではなくグレーを使用すると解説しましたが、ただのグレーではなく少し色味を入れたグレーを使用するのもおすすめです。
黒い髪の毛といっても、実際に真っ黒な髪の毛の人はなかなかいません。
茶色がかった黒髪の人が多いので、ナチュラルで自然な黒髪を描きたい場合は、「オレンジがかったグレー」や「赤みがかったグレー」を使用します。
透明感のある青光りした真っ黒の髪の毛を描きたいときは、「青みがかったグレー」や「紫がかったグレー」を使用しましょう。
原因3:影が見えづらくなっている

色味のあるグレーを使用しているのにツヤっとした黒髪が描けないときは、ベースの色が暗くて影が見えづらいのが原因かもしれません。
影を塗るときは、ベースと影のコントラストがしっかりついているか確認しましょう。
コントラストとは、色の明るい部分と暗い部分の差のことです。
コントラストが弱いと左のイラストのように影が見えづらいため、ベースの色を明るくして影が見えるように調整しましょう。
赤みがかったベースには赤みがかった影、青みがかったベースには青みがかった影を使用して、ベースと影の色味を合わせます。
黒髪の線画を描くときの大切な3つのポイント
黒髪が上手く描けない原因と対策を学んだあとは、実際に黒髪を描いてみましょう。
黒髪は線画を描くときにも注意が必要です。
ポイント1:髪の毛の流れを意識しよう

髪の毛の線画を描くときは、髪の流れに沿って描きましょう。
初めにつむじの位置を決め、そこから下に向かって流れるように髪を描くのがポイントです。
特にモノクロで黒髪を描くときは、髪の毛の流れが整っていないと目立ちます。
ポイント2:毛先は閉じて描こう

黒髪を塗るときは、毛先が整っていないと目立ちます。
毛束からいらない線が出ないように、毛先はしっかりと閉じて描きましょう。
ポイント3:細かい線は省略しよう


モノクロで黒髪を描くときは、髪の毛の細かい線を省略して線画を描きましょう。
髪の毛の流れの線をたくさん入れると、ハイライトの部分にいらない線が出てしまいます。
そのため毛束の輪郭だけを描き、髪の細かい流れの線は描かないようにするときれいに仕上がります。
モノクロでの黒髪の描き方
モノクロで黒髪を描くときは大きく分けて2種類の塗り方があります。
「ベタだけで塗る方法」と「影にベタを塗る方法」です。
ベタとは、指定の範囲を黒色で塗りつぶす作業のことです。
ベタだけで塗る方法

1つ目は、髪の毛の範囲をすべてベタで塗りつぶす方法です。
隙間なくきれいにベタが塗れたら、髪の毛の細かい毛束を描き足しましょう。
そうすることで、ベタだけでも動きのある自然な髪の毛が描けます。
影にベタを塗る方法

2つ目は、光源を決めて影になる場所にベタを塗る方法です。
基本的には、光の当たる反対側が影になります。
全体を見て髪の毛の白い部分が多すぎると思えば、影のベタを増やして調整しましょう。

- POINT 「古風なベタ」と「今風なベタ」の違い
ベタを塗るとき、ハイライトを細かく残すとひと昔前の絵柄に見えます。 今風の黒髪を描きたい場合には、影になる場所のみをベタで塗りましょう。
グラデーションやハイライトの色でアレンジ

今まで塗ったものにアレンジをすることで、黒髪にも個性を出すことができます。
1つ目は、ベタ部分にグラデーションをつけてアレンジする方法です。
グラデーションをつけるときは光源の方を薄くすると自然です。
2つ目は、ハイライトの部分をグレーで塗るアレンジ方法です。
場面や好みに合わせて使い分けても良いでしょう。
アニメ塗りでの黒髪の描き方
手順1:ベースを塗ろう

ベースは黒ではなく、グレーや少し色味を入れたグレーを使用します。
ベースを暗い色にしてしまうと影を塗っても見えないので、出来上がりの理想の色よりも薄い色でベースを塗るのがポイントです。
色味の入ったグレーは自然な黒髪の場合、赤色やオレンジ色の入ったグレーがおすすめです。
青みがかった真っ黒の髪の毛にしたいのであれば、青色や紫色の入ったグレーを使用しましょう。
手順2:影を塗ろう

影の色はベースの色を黒に近づけます。
このとき真っ黒にする必要はありません。
バランスの良い影付けをするには、ベースと影のコントラストを確認しましょう。
コントラストとは、色の明るい部分と暗い部分の差のことです。
肌や服は淡い影つけをしているのに、髪の毛はパキっとした影つけをしてしまうと、人物全体のバランスが悪くなります。
肌や服のベースと影のコントラストと、髪の毛のベースと影のコントラストがあまりにもかけ離れないように気をつけましょう。
手順3:ハイライトを入れて完成

ベースを明るくした色を使用してハイライトを塗ります。
頭の丸みに沿ってカーブをえがくように塗りましょう。
ハイライトの塗り方についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

ブラシ塗りでの黒髪の描き方
手順1:ベースを塗ろう

アニメ塗りと同じ方法でベースの色を塗ります。
ベースは黒ではなく、グレーや少し色味を入れたグレーを使用します。
ベースを暗い色にしてしまうと影を塗っても見えないので、出来上がりの理想の色よりも薄い色でベースを塗るのがポイントです。
色味の入ったグレーは自然な黒髪の場合、赤色やオレンジ色の入ったグレーがおすすめです。
青みがかった真っ黒の髪の毛にしたいのであれば、青色や紫色の入ったグレーを使用しましょう。

次にエアブラシなどフチがふんわりとしたブラシで色をつけます。
光源に近い方向と、顔周りを明るくします。
このとき使用する色は、環境に合わせて変えましょう。
太陽の光であれば少し黄みがかった白色、冬の雪の中や蛍光灯などであれば青味がかった白色を使用します。
顔周りには肌色の使用もおすすめです。
手順2:影を塗ろう

乗算レイヤーを使用して1影を入れていきます。
1影とは影のベースです。
まず大きく影を塗り、この「1影」をベースにさらに濃い「2影」を上から重ねることで、イラストに立体感が出ます。
また乗算レイヤーを使用することで、ベースに合う色の影が簡単に描けます。
光があたる反対側に大きく1影を入れましょう。
乗算レイヤーの使い方については、こちらの記事を参考にしてください。


次に2影を入れます。
2影とは、最初の影(1影)の上に重ねるさらに濃い影のことです。
より奥まった部分に、乗算レイヤーを使用して影を入れます。

仕上げに影をなじませます。
エアブラシなどのフチのふんわりとしたブラシを使い、色の境界線をぼかしていきましょう。
全ての境界線をぼかすとイラストがぼんやりとした印象になってしまうため、線画がないところや平らな部分、毛束が重なってない部分だけをぼかします。
手順3:ハイライトを入れよう

スクリーンレイヤーを使用して、ハイライトを入れます。
スクリーンレイヤーを使用することで、ベースに合う色のハイライトが簡単に描けます。
ハイライトの色は、環境の色を取り入れて選びましょう。
例えば、昼のイラストには黄色、夕方のイラストにはオレンジ色、夜のイラストには青色などを使用します。
光源を意識して、光源に近い方向にたくさんハイライトを入れると自然に仕上がります。
こちらも影付けと同じように、エアブラシなどのフチのふんわりとしたブラシを使って色の境界線をぼかしましょう。
スクリーンレイヤーの使い方については、乗算レイヤーと合わせてこちらの記事を参考にしてください。
手順4:色トレスをして完成

線画を色トレスします。
色トレスとは、線画の色を変更し、線画と色塗りを馴染ませる技法です。
線画レイヤーの上に新規レイヤーを作りクリッピングします。
クリッピングをすることで、線からはみ出さずに線画の色を変えることができます。
クリッピングの方法が分からない方は、こちらの記事で詳しい手順を紹介しておりますのでご参考ください。

光源の方向は明るい色、光源の反対側は暗い色になるように、エアブラシなどを使って線画の色をところどころ変えましょう。
エアブラシで塗ることで、色の境界線がぼけて綺麗な仕上がりになります。
厚塗りでの黒髪の描き方
手順1:ベースを塗ろう

厚塗りも同じように、まずはベースから塗っていきます。
ベースは黒ではなく、グレーや少し色味を入れたグレーを使用します。
ベースを暗い色にしてしまうと影を塗っても見えないので、出来上がりの理想の色よりも薄い色でベースを塗るのがポイントです。
色味の入ったグレーは自然な黒髪の場合、赤色やオレンジ色の入ったグレーがおすすめです。
青みがかった真っ黒の髪の毛にしたいのであれば、青色や紫色の入ったグレーを使用しましょう。
手順2:影を塗ろう

アニメ塗りやブラシ塗りよりも、髪の毛の流れに沿って細かく塗っていきましょう。
フチのはっきりとしたブラシで塗るとアニメ塗りのようなパキっとした仕上がりになるため、フチのふんわりとしたブラシを使用するのがおすすめです。
影の色はベースの色を少し黒に近づけます。
影は一色ではなく、影色の中でも少し明るい色や暗い色を作り、何色かを塗り重ねることで重厚感のある仕上がりになります。
光源の反対側や首回りは特に暗くなる部分なので、さらに濃く影を塗りましょう。
手順3:ハイライトを入れよう

ベースの色を明るくしてハイライトを入れます。
光源に近い部分は大きく明るく、光源から遠い部分は弱く光を入れましょう。
光源の反対側には反射光が入ります。
今回のイラストでは左上が光源になりますので、反射光は右下に入ります。
手順4:色トレスをして完成

線画を色トレスします。
色トレスとは、線画の色を変更し、線画と色塗りを馴染ませる技法です。
線画レイヤーの上に新規レイヤーを作りクリッピングします。
クリッピングをすることで、線からはみ出さずに線画の色を変えることができます。
エアブラシを使って線画の色を変えましょう。
線画を色塗りに馴染ませるために、線画を隣り合う色に近づけます。
このとき影の塗りが弱いとイラストがぼやっとしてしまうので、色トレスをする前に影をしっかり濃い色で塗っておくのがポイントです。
上手く描くコツを知って、思い通りの黒髪を描こう

黒髪をきれいに描くには、黒髪ならではの注意点やコツを知り、しっかり理解することが大切です。
モノクロイラストでは髪の毛の流れを意識したり、カラーイラストではベースの色を自分の想像の色よりも明るく塗ったりすることで、軽くて美しい黒髪へと近づきます。
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