ブラシ塗りの塗り方!他の塗り方との違い・描き方手順も解説
この記事はイラスト・マンガ教室egacoの講師(イラストレーター・マンガ家)が商業制作などで磨いた知識や技術をもとに作成しています。より自分の描きたいものに合わせた内容を知りたい方は、egacoでの個別指導レッスンの受講をおすすめします。
「ブラシ塗り」は、キャラクターの塗りなどさまざまなイラストやプロの現場でも使われます。
デジタルでカラーを始めたい初心者の方から、塗りのクオリティを上げたい、新しい技法を取り入れたい方まで、興味がある方も多いのではないでしょうか?
「真似してみたけどうまく再現出来ない、汚くなってしまう」「ツールは何を使えばいいの?」「そもそもブラシ塗りがどういう塗り方なのかわからない」という疑問にお答えし、ブラシ塗りの定義から塗り方のコツまで丁寧に解説します。
他の塗り方との仕上がりの違いをチェックして理解を深め、ブラシ塗りをマスターしましょう。
ブラシ塗りとは?他の塗り方との違いを知ろう
色塗りには「アニメ塗り」「ブラシ塗り」「厚塗り」といった方法があります。
それぞれの違いを知っておきましょう。
ブラシ塗り
アニメ塗りをベースにブラシを使いグラデーションの表現を加えた塗り方で、影やハイライトにグラデーション表現やぼかし表現が多用されます。
- アニメ塗りに比べると色数が多く、高級感のある鮮やかな仕上がり。
- 厚塗りに比べると線画がハッキリしており、色を重ねすぎない軽い仕上がりが特徴です。
アニメ塗り
ベタ塗りをベースに影をつけたシンプルで基本的な塗り方で、アニメーションでよく使われます。
厚塗り
絵画や油絵のように色を重ねていく塗り方です。
主線が目立たないものが多く、塗り重ねる事で重厚感や立体感のある絵に仕上げていく技法です。
ブラシ塗りするためのツールとは?
デジタルツールを使う際に「ブラシの種類が多すぎてどれを選んだらいいかわからない」と言う質問を多くいただきます。
実際には、完成した作品がブラシ塗りに見えればどのブラシを使っても問題なく、これが正解!というハッキリしたものはありません。
しかし、ブラシ塗りに適しているものと、そうではないものがあるため、ブラシ選びの参考にしてみてください。
ブラシ塗りに適したツールの特徴
- 筆の入り抜き(筆圧)で色の濃淡を出せるもの
- 指先ツール、色混ぜツールなど、ぼかしたり馴染ませたりできるもの
- エアブラシ
ブラシ塗りに向いていないツールの特徴
- ざらつきテクスチャがついたもの(かすれ表現が強い筆)
- 筆先の入り抜きがランダム設定されているペン(かすれGペンなど)
- エアブラシ内のスプレーなど粒子を吹き付けて描画するもの
2パターンあるブラシ塗りの方法
ブラシ塗りには、大きく分けて2つの塗り方があります。
1:完成されたアニメ塗りを馴染ませ加筆していく
- アニメ塗りとしてすでに完成しており、陰影がハッキリとついているので、改めて大きく書き加える必要がなく失敗しづらい。
- アニメ塗りの時点でパッキっとした陰影がついているので、柔らかく透明感のある印象にするのが難しい。
2:ベースに柔らかいブラシで陰影を描き加えていく
- 時間を短縮出来る、柔らかく透明感のある印象に仕上がりやすい。
- ぼかし具合を見極める必要がありやや難易度が高め、厚塗りなど他の塗りになりやすい。
②は比較的経験があり、カラーに慣れている方の塗り方です。
過去にうまく出来なかった方や、初めてブラシ塗りに挑戦する初心者の方には①の塗り方をおすすめします。
ブラシ塗りの手順を作例で解説!
今回は上記で紹介した「1:完成されたアニメ塗りをブラシで加筆していく方法」で解説を進めます。
まずは、アニメ塗り手順で完成させたイラストを用意して下さい。
手順1:影を一部馴染ませていく
影の境界がくっきりしすぎている箇所を、グラデーションをつくりつつベースに馴染ませていきます。
この時、使うツールで仕上がりの印象が違うため、使い分けると良いでしょう。
どのくらいぼかすのかは、物体と影の距離で決めていきます。
詳しくは、影の付け方・塗り方講座をご参照ください。
馴染ませに使うツールは何がいい?
1:柔らかいブラシ
筆の入り抜き(筆圧)で色の濃淡を出せるブラシです。
細かい色の変化を加えられ、柔らかな表現ができます。
2:エアブラシ
ブラシで塗った濃くハッキリしすぎている箇所を消す、全体的にグラデーションを作る時に使います。
3:指先ツール
風で流された髪、引っ張られて出来た服のシワなど、一定方向に動きをつけつつも馴染ませたい時におすすめです。
4:色混ぜツール
ぼかしつつ色を混ぜ馴染ませます、大きくぼけやすいため使い過ぎないよう注意しましょう。
大きなブラシサイズでポンポンとたたくイメージです。
- POINT ぼかし過ぎには注意!
- ペンの様にザクザクと描く使い方はあまりおすすめしません。 ぼかし過ぎると全体がぼんやりとしピントが合っていない様な仕上がりになってしまい、メリハリのない印象を作ってしまう原因です。 影の「一部」のみにおさえましょう。
手順2:全体にグラデーションを追加しよう
光源に近い所を明るく、光源から遠い反対側を暗く、大まかに陰影を追加します。
髪の毛や洋服などの細かな陰影を書き加えていく事で、全体の仕上がりを確認した際に立体感が欠けてしまい平面的になってしまいがちです。
グラデ―ションを追加する事で人物の立体感を表現し、リアリティを演出できます。
手順3:反射光を追加しよう
光源とは反対の画面から遠くにある箇所、奥行きを持たせたい箇所などに反射光を入れることでイラストに更に立体感や空気感を出せます。
- POINT 反射光の色に注意!
- 直接当たっているハイライトと違い、反射した光が間接的に当たっている光になる為、ハイライトと同じようなはっきりとしすぎた色(真っ白など)を使いすぎないように注意しましょう。
手順4:更に細かい影を追加しよう
アニメ塗りでベースの上に1影(薄い影)2影(濃い影)を塗りました。
ブラシ塗りでは全体の色の諧調を増やしより華やかにする為に、0.5影(更に薄い影)1.5影(中間の影)を入れる場合もあります。
必ず必要な工程ではないですが、影を馴染ませた後に物足りなさを感じた場合に追加しましょう。
サムネイルで全体を確認しよう
塗り込みの際キャンバスを拡大して作業する事が多いため、塗り終わり全体を見た時に「思っていた仕上がりと違う」という事が起きりやすいです。
そんなイメ―ジの差を埋めるために下記のどちらかの方法で確認しつつ進めていく事をおすすめします。
- ある程度手を加えた後は仕上がりサイズで全体を確認する。
- ナビゲーターで全体を確認しつつ手を加えていく。
ブラシ塗りのイラストが完成!
ブラシ塗りをもっと上達するには
ここでは漠然としたブラシ塗りの印象から、具体的に他の塗り方との違いや工程を解説しました。
ブラシ塗りの進め方はたくさんありますが、まずはこの記事の「①完成されたアニメ塗りをブラシで加筆していく」といった練習が失敗しづらく、ブラシ塗りの基礎工程をつかみやすいです。
それでも納得行く仕上がりにならなかったり、うまくブラシ塗りが出来ているかどうか自分では判断出来なかったりあるかもしれません。そんなときはスクールも検討してみましょう。
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